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奈良

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依存症:必ず回復できる 奈良ダルク、ドキュメンタリー制作進行中 /奈良

 ◇薬物、アルコール、ギャンブル

 ◇「施設の存在知って」

 薬物依存症などの回復施設を運営する「奈良ダルク」(大和高田市東中2)が、入所者の回復過程を記録したドキュメンタリー映像の制作を進めている。1年以上かけて撮りためた映像を20~30分に編集し、今年度中に公開する計画。回復施設や自助グループがあることを依存症者に知ってもらうのが狙いで、「ありのままの回復過程を見てもらい、『必ず回復できる』というメッセージを伝えたい」と思いを込めている。【大久保昂】

 制作は、映像による市民の情報発信を支援しているNPO法人「OurPlanet-TV」(アワープラネット・ティービー、東京都千代田区)が昨年、募集した企画がきっかけ。奈良ダルクの応募が高評価を受け、映像化が決まった。

 制作は昨年9月に開始。ビデオカメラやパソコン用の編集ソフトなどの機器を無償で借り、撮影方法や編集についての助言も得ながら、制作を進めている。

 奈良ダルクの回復施設には現在、薬物、アルコール、ギャンブルの3種の依存症に苦しむ男女約20人が入所。撮影は施設職員が担当し、入所者の同意を得たうえで、農作業などの回復プログラムに取り組む様子や、週末に仲間同士でサーフィンを楽しむ風景を、インタビューを織り交ぜながら映像化している。

 厚生労働省の研究班が実施した調査では、アルコール依存症者と薬物依存症者はそれぞれ国内に約80万人、約10万人いると推計されている。ギャンブル依存症者については公的な調査結果はないが、約200万人に上るという推計もある。その一方、回復施設や自助グループの認知度は高いとは言えず、病院の精神科で受診することなどをきっかけに知る場合が多いという。

 映像の編集を担当している奈良ダルクのスタッフ、久世恭詩さん(25)も薬物依存で病院を訪ね、回復施設の存在を知った一人。「施設などについて依存症当事者が得られる情報は少ない。映像を公開することで、一人でも多くの人が施設につながってほしい」と話している。

毎日新聞 2011年5月23日 地方版

 
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