事件・事故・裁判

文字サイズ変更

6億円強奪:廃車のナンバー利用 身元特定防止で工夫か

 東京都立川市の警備会社「日月警備保障」立川営業所から約6億円が奪われた事件で、強盗傷害容疑などで逮捕された植木秀明容疑者(31)と指名手配された渡辺豊容疑者(41)が逃走時に使った車のナンバーは、廃車から付け替えられた疑いが強いことが警視庁立川署捜査本部への取材で分かった。両容疑者が事件前後に連絡を取っていた約10人の携帯電話も他人名義である可能性が高いという。捜査本部は、いずれも身元が特定されるのを防ぐための工作だったとみている。

 捜査本部によると、両容疑者とみられる2人組は5月12日午前3時過ぎ、営業所の金庫室から現金を奪った後、車で逃走。車は最寄りの国立府中インターチェンジ(IC)から中央自動車道に入り、茨城県の常磐自動車道・谷田部ICで降りたとみられる。

 捜査本部は、道路や料金所などにあったカメラの映像を分析し、両容疑者が別の車に乗り換えたり、車のナンバープレートを付け替えていたと判断。ナンバーから車の所有者を捜査したが、特定は難航しているという。捜査本部は、運輸局に抹消登録した廃車のナンバーが不法に利用された可能性があるとみている。

 一方、両容疑者の携帯電話の通信記録の捜査で浮上した10人前後についての捜査も匿名性の壁に直面。不法に他人名義で取得されたり、横流しされた携帯電話が利用された可能性があるという。こうした携帯電話は、振り込め詐欺事件などの犯罪にも使われることが多いと指摘されている。

 また、植木容疑者が事件後に東京都日野市の実家を訪れた際、現金約10万円を持っていたことが捜査本部への取材で分かった。家族らには「パチンコで勝った金だ」と説明したという。植木容疑者は仕事をしておらず、捜査本部は事件で奪った現金の一部だった可能性もあるとみている。【山本太一、内橋寿明、小泉大士】

 ◇現金輸送統括の事業所立ち入り 警視庁

 警視庁は1日、日月警備保障の現金・貴金属輸送部門を統括する東京都新宿区内の事業所に警備業法に基づく立ち入り検査を行った。業務が適切かを調べ、不備があれば改善を求める指示や命令を出す。強盗被害に遭った立川営業所への立ち入りも行う方針。

毎日新聞 2011年6月2日 15時01分

 

おすすめ情報

注目ブランド

毎日jp共同企画