米軍が普天間基地への配備計画を発表した新型輸送機に対し地元の宜野湾市が反発
アメリカ軍が普天間基地への配備計画を発表した新型輸送機「MV-22 オスプレイ」に対し、沖縄が猛反発している。
大型の猛きん類の一種にたとえられる新鋭機だが、開発段階で墜落事故が相次いだこともある。
その配備の狙いを緊急検証した。
沖縄・宜野湾市民は、「もう、これは反対だから、わたしたちは」、「とんでもない話ですよ。絶対、降ろしちゃだめ」と話した。
普天間基地を抱える宜野湾市から配備反対の声が上がっているのは、アメリカ軍の「MV-22 オスプレイ」で、アメリカ国防総省が2012年秋から、海兵隊普天間基地に配備すると発表した新鋭機。
オスプレイの特徴は、主翼の両端に回転翼を配置した形で、その角度を変えることで、ヘリコプターのように垂直に離着陸ができるが、翼があることで、飛行機のように高速水平飛行も可能となっている。
軍事評論家の岡部 いさく氏は、「オスプレイは輸送が任務です。従来のヘリコプターよりも大量の物資を積んで、より遠くへ、より高速で飛んでいける。そういう能力を持つ機体を開発するのが目的でした」と語った。
1980年代から開発が始まったオスプレイは、現在使用中の「CH-46」に比べ、搭載重量、速度、行動半径などが上回る。
しかし、その開発は難航した。
1991年からは、墜落事故が4回相次ぎ、30人が犠牲になった。
オスプレイは一時、「ウィドウメーカー(未亡人製造機)」とまでやゆされた。
しかし、アメリカ軍はその後、一定期間墜落が起きておらず、国内配備も進んだとして安全を強調した。
2007年からはイラクへ配備され、現在はアフガニスタンにも実戦投入されている。
しかし2010年4月、再び墜落事故が発生した。
Pentagon Channelは、「アフガニスタン南東部で夜遅く、空軍のオスプレイが墜落し、兵士3名、民間人1名が死亡しました」と放送した。
原因は、いまだにはっきりしていないという。
こうした中、日本政府もアメリカ軍のオスプレイ配備の意向をふまえて動き出している。
6月7日、北沢防衛相は「私は今、日程調整していますけど、沖縄へは近々行こうと思っていますから。現在の米軍の主力(輸送機)になって、心配がないというようなことについても、できるかぎりのことは、ご説明を申し上げたいというふうに思っています」と述べた。
北沢防衛相は、地元への説明を予定している。
しかし、9日、宜野湾市の安里 猛市長は、「住宅地上空での訓練を繰り広げながら、危険性を増すということは、どうしても宜野湾市民としては納得がいかない」と述べるなど、地元は反発している。
沖縄では、オスプレイの配備が基地問題の新たな火種となる可能性をはらんでいる。
新たな紛糾も予測される中、アメリカは、なぜ沖縄にオスプレイを配備しようとするのか。
軍事評論家の岡部 いさく氏は、「もしオスプレイを沖縄に配備すれば、海兵隊は台湾へも直接、飛んでいけるようになります。さらに揚陸艦と組み合わせれば、たとえば南シナ海のように、中国の勢力拡大が懸念されているような地域へも、アメリカは迅速に兵力を送り込めるようになるわけです」と語った。
2010年に続き、8日も日本の排他的経済水域を横断するなど、中国艦隊は、アジアと太平洋の海域で堂々と活動範囲を広げている。
軍拡を続ける中国をにらみ、沖縄へのオスプレイ配備を意図するアメリカ。
極東での米中の駆け引きのレベルは、一段と高まるのか。
(06/10 00:19)