焦点:大腸菌被害で有機農法に疑問符、バクテリアに「理想の環境」
[ロンドン 6日 ロイター] 化学肥料などを使わず有機的に栽培されたモヤシは味が良く栄養価も高いが、その一方で、有機農法には危険なバクテリアの繁殖場所として理想的な環境が整っている。
モヤシは大腸菌の感染源として疑われることが世界的に見ても多い。5月中旬からドイツを中心に22人が死亡し、2300人以上が体調不良を訴える事態にまで発展した大腸菌感染についても、大豆の有機栽培農家に疑いの目が向けられたことは驚きではないと衛生専門家は指摘する。
今回の大腸菌被害は、有機農法の将来について疑問を投げかけているとの見方もある。
英イースト・アングリア大学の公衆衛生学教授、ポール・ハンター氏は「大西洋の両側において、モヤシが感染原因となることは非常に多い。衛生的に栽培するのは非常に難しく、菌を付着させないよう細心の注意を払わなくてはならない」と指摘。「通常の化学物質や非有機的な肥料を使用しないオーガニック農場は、より多くのリスクを負っている」との見方を示した。
ハンター教授自身も、これまでにオーガニックの果物や野菜を購入したことはあるとする一方で、有機野菜を使った生のサラダについては、「まさにこの理由から」避けたとしている。
ドイツを中心に拡大している大腸菌の被害では、牛の腸管に存在するとされる腸管出血性大腸菌(STEC)が確認されていることから、感染源は、肥料や何らかの排せつ物である可能性が非常に高い。
<種の汚染>
ドイツでの感染問題の渦中にいる有機生産農家は、肥料は使っていないとしている。しかし専門家は、豆の種や栽培に使用した水が大腸菌で汚染されていたか、種を取り扱った人物経由で菌が付着した可能性もあるとの見方を示す。 続く...
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