2011年4月15日 2時30分
東日本大震災の復旧・復興に向け、政府・民主党が検討している震災関連法案の全容が14日、明らかになった。月内に復旧・復興の基本方針を定める「復興基本法案」や、被災者に税制上の減免措置を講じる税制改正法案など7法案を提出。5月以降は早期の市街地再生に向け、津波などで所有者不明となった土地の取り扱いを定める新法など、約10法案を提出する。復旧・復興への取り組みが本格化するなかで、個人の私権制限にどこまで踏み込むかが焦点になる。
関連法案は3段階に分けて提出。第1弾として、今月19日に被災者の税負担軽減のための国税・地方税の改正案を閣議決定して国会に提出。第2弾は月末に提出予定の11年度1次補正予算案に併せ、▽復興基本法案▽自治体が所管する道路や公共施設などの復旧工事を国が代行可能とする法案▽津波被害に遭った農地の塩分を除くことなどを含む土地改良法の特例法案--など5法案を出す予定だ。
一方、第3弾では、復興に重点を移す。建築制限の特例法案は、現在最長2カ月となっている家屋などの建築制限期間を6カ月程度まで延長。宮城県の村井嘉浩知事が8日に菅直人首相に申し入れた要望を反映した。所有者不明となった土地の扱いを定める新法は、行政ががれき撤去や整地を行えるようにするための措置。権利関係が復興計画の障害になることを防ぐのが狙いだが、憲法の財産権などから論議を呼ぶ可能性もある。【横田愛】
<第1弾>
・被災者の国税関係法律の臨時特例に関する法案
・地方税法改正案
<第2弾>
・復興の基本方針及び組織に関する法案(復興基本法案)
・震災対処のための特別の財政援助・助成に関する法案
・地方交付税の総額の特例に関する法案
・土地改良法の特例に関する法案
・公共土木施設の復旧工事の国等による代行に関する法案
<第3弾>(検討事項)
・一般旅券の発給の特例に関する法案
・甚大な被害を受けた市街地の建築制限の特例法案
・復興事業を円滑に進めるための所有者不明の土地の取り扱いに関する法案
・金融機能強化法改正案
・新たな食料供給基地建設のための特別措置に関する法案
・被災市街地の復興の特例措置を定める法案
・選挙期日の延期等に関する法案