2011年4月13日 22時5分 更新:4月13日 22時11分
大量の放射性物質を放出する深刻な原発事故の対応に追われる東京電力。清水社長は13日の記者会見で、原子炉や使用済み核燃料プールの冷却機能の復旧が難航している福島1~4号機について、「放射性物質の放出を一日でも早く抑止するために全力で取り組む」と強調した。だが、「放射線を封じ込めるのは時間がかかる」とも述べ、事態が長期化するとの見通しを示した。
清水社長は一連の事故の状況について、「原子炉や核燃料プールの冷却と放射性汚染水の排水処理が喫緊の課題だ」と説明。「少しずつ安定化している」と語ったが、収束時期の見通しは「詰めている段階」と述べるにとどまった。
東日本大震災発生直後の対応では、原子炉格納容器内の圧力を下げるため、弁を操作して高温の水蒸気を外部に逃がす「ベント」作業の遅れが事故拡大を招いたと指摘されているが、「外部電源の喪失で、作業の着手に時間がかかった」と強調。ベントや圧力容器への海水注入は自らの指示だったと説明したものの、決断の時間など詳細は明言を避けた。社長は震災当日の3月11日は関西地方に出張。地震で交通網が乱れ、東京に戻ったのは翌12日午前10時だった。
福島第1原発1~3号機の事故が、過去に旧ソ連のチェルノブイリ事故しかない、国際評価尺度で最悪のレベル7と暫定評価されたことは謝罪したが、「地震で制御棒が正常に働き、原子炉を止めることができたのは事実。その意味では経年化した(1号機などの)施設の安全性は保たれた」とも強調した。
新潟県の柏崎刈羽原発(計7基)については「津波対策を講じながら稼働する」と運転継続の方針を示した。【中西拓司、八田浩輔】