2011年4月12日 2時34分 更新:4月12日 2時38分
東日本大震災で発生した津波の威力を高めた未知の断層が存在している可能性のあることが、東北大や東京大の分析で分かった。この断層の規模はこれから精査するが、地震を起こした断層から枝分かれする格好で分布しているとみられる。
今回の地震は、太平洋のプレート(岩板)に陸側のプレートが潜る境界面で、引きずり込まれた陸側のプレートが一気にずれて発生した。しかし、これまで推定されているずれの量だけでは、観測された海底隆起や今回の十数メートル以上の高さになった巨大津波を十分に説明できなかった。
東京大が震源から約100キロ陸側にある岩手県釜石市沖の海底に設置した水圧計データを精査したところ、地震直後に海面上昇が始まり約10分かけて約2メートル、続く2分間で急激に約3メートル上がる2段階の山があった。震源近くの東北大の海底水圧計も地震後に約5メートルの海底隆起をとらえた。
東北大の今村文彦教授(津波工学)は、これらを分析。震源となったプレート境界面から、上向きに急角度で枝分かれした「分岐断層」が同時にずれると、今回の大津波を説明できることを推定した。
海底の分岐断層は、熊野灘(和歌山県)沖で海洋研究開発機構が行った海底探査で発見され、1944年の東南海地震などの大津波の原因になったとみられている。今村教授は「周期の違う二つの波の成分が伝わる過程で、波のピークが一致したのではないか」と話す。【八田浩輔】