我が青春のモレーリ汁 [アニメ]
まあ、若いおまいさんもこの年寄りの話をゆっくり聞いとくれな。
その昔にのう..........、と言ってもたった2年程前なのじゃがの。
「FIRESTORM(ファイヤーストーム)」、というアニメがあったんぢゃよ。
これがもう、素晴らしく笑えるアニメでのぅ。80年代くらいに流れてた格好良さについてなんだか色々勘違いしちゃってるような雰囲気と、60年代〜70年代のジェリー・アンダーソン作品をごちゃまぜにして、小学生向けコミック誌で割ったような内容をやっとったんぢゃ。
お? そうじゃよ? 嘘など言わん。あれは確かに2003年のことじゃった。登場人物は大人ばかり、武器は通常兵器の進化版、っちゅう男気に溢れた世界でなあ。地球侵略のために密かに侵入した宇宙人と、地球側の秘密防衛組織が戦う、っちゅう、スパルタンな話だったんじゃ。最初の設定では、の。
それが悲劇のはじまりじゃった。
近頃の若いモンと来たら、やれ「萌え美少女キャラがいない」、だの、「ロボットが出て来ない」、だの、「設定が甘い」、だのとたわけた文句ばっかり抜かしおって。リアリティがどう、とか言いたいならばだ。ある日突然妹が12人押し掛けてきて破産しない家があっても、火傷する程熱い薬莢をバラまく自動火器を半裸の娘が撃ちまくっておっても変に思わないおんしらの方が、よっぽど変ぢゃわい。まったく。
んでの、中身も見ないで散々悪口を言う輩のサカナにされとった。可哀想にのぅ.........。あと、20年早く放送されとったら、誰も文句なぞ言わんかったろうにのぅ(涙)。亜空大作戦ス○ングルとか、ビデオ戦士レザ○リオンとかが普通に流れとった、あの時代じゃったら、幾分楽じゃったろうに、のぅ.........。
ははは、嘘ぁつけんもんじゃ。儂ゃどうも嘘は苦手ぢゃ。おまいさんの言う通り、よう勉強しとるのぉ。
そう、中身を見たモンも、それは大層おった。儂もその一人ぢゃ。お世辞にも名作、とは言い難かったのは事実かのぉ。しかしの、儂らはなぜか、あの「ふぁいやーすとーむ」に、ぞっこん惚れてしもうたんじゃ。
それはの、アレじゃほれ、えーとえーと、
そうぢゃ! あのお方ぢゃっ!
モレーリ様!
儂らはあの愉快でどこか抜けた感じの、天然ボケ入った御仁に、すっかりやられてしもうたんじゃ!
何ちゅうのかのぅ、あの御仁は、地球侵略組織・ブラックオーキッドの首領にして、ゾリオン星地球侵略先遣隊の責任者でありながら、どこかこう、憎めない所があったんじゃよ。いつもダンディな紫の3ピーススーツで、ブロンド美人のムチムチ秘書なんぞはべらしての。しかもいつも背の高いグラスで何か飲んじょった。こんであと膝の上にでも猫がおったら、誰彼ともなく、「いつの時代の悪人ぢゃ!おまへはドクター・イーブルかっ!」、と、ツッコミのひとつも入れたくなろう、っちゅう位のダンディーっぷりよ。
そんでいて、あん人はさらにひと味もふた味も違う。毎回繰り出す作戦がすんばらしかったんじゃよ! もう、ひと笑いもふた笑いもしておつりが来る程じゃったんじゃ。「水源地に毒」、とか、「ミサイル基地乗っ取り」、とか、とても2000年代に入って考えたとは思えん程の外しっぷりでの。いっぺんなんぞ、深夜の通販番組で紹介されとった自分好みのカスタムリムジンを強奪しようとしてのう。思いっきりよくワナにはまって捕まっとった。まあ、大気の放電現象も素で知らなかった有様じゃからのう。ありゃきっと、ゾリオン星からの長い宇宙旅行の間になんかあったんじゃなかろか、と思うんじゃよ。えーと、酸素欠乏症とか。
まあ、それに対する秘密防衛部隊ストーム・フォース9っちゅうのもまたまたへっぽこでの。そらー楽しい戦いが毎週のように繰り広げられていたもんさね。儂らは、そいを楽しみに毎週見とったんじゃ。
懐かしいのぅ。
久しぶりに、秘蔵のDVDでも観るかのぉ。
はぇ?
「じいちゃん、何でそんな事、唐突に思い出したの?」、かえ?
はて........何でじゃろうなぁ。むう、わからぬわえ........。
おお!そうじゃそうじゃ!
さっき、喫茶店の前、通ったじゃろ? あそこのウインドウケースにな、メロンソーダフロートのサンプルがあったろう、ほれ!
それを見て思い出したんじゃよ、あの憧れの「モレーリ汁」を.........。
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