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カープを愛する個性派 「広島学」著者に聞く県民性

2011年6月7日0時57分

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 広島の県民性をひもとく「広島学」(新潮社、税別552円)が県内書店で人気を呼んでいる。筆者は「名古屋学」「博多学」など各地の県民性を論じてきた出版プロデューサーの岩中祥史(よしふみ)さん(60)=東京都豊島区=。約3年がかりで取材した岩中さんの目に、広島県民はどう映ったのか聞いた。

 ――なぜ広島を取り上げたのですか

 消費や健康といった各種の統計では、広島県民は日本の平均像とよく言われる。だが、私の周囲にいる広島県人は、とても平均像とは言えない個性派ぞろい。郷土愛が強く全国各地に県人会を立ち上げ、広島カープをこよなく愛す。

 私も、個性的と言われる名古屋市出身。「支店経済」と言われる各地の県民性を掘り下げるのが目的で、広島は当初から書きたいと思っており、2008年ごろから取材した。

 ――カープの記述が手厚く、赤ヘル軍団の応援になると、なぜかくまで熱くなるのか、と問いかけていますが、その答えは

 世界遺産の原爆ドームや宮島もあるが、広島県民からカープは絶対外せないと思った。県民の募金で、球団の危機も救った。カープは県民の生活の一部になっている。旧広島市民球場での最後の試合を観戦した。プロ野球の客は男性が多い傾向があるが、その試合には、愛着を込めてあえて言うが「おばちゃん」が多かった。若いころからカープが生活の一部だったのだろう。

 新しい球場で2回観戦したが、お行儀が良くなっており、びっくりした。暴れてほしいという意味ではないが、広島らしさがなくなって少し残念にも思った。

 ――著書で最も伝えたかったことは

 日本経済は東京に一極集中している。だからと言って、東京が日本の標準だと錯覚してもらいたくない。日本中どこに行っても同じだと魅力は全くなくなってしまう。伝えたかったのは、広島の個性を大切にしてもらいたいということ。

 ――本が売れています

 カープや原爆といった分野に特化した広島の本は過去にたくさんあるが、文化や観光、歴史など全体的に広島を取り上げた本が少なかったからだろうか。生まれ育った街なのに知らなかったと思うような気づきが何か一つでもあれば幸い。

 それと、他県の人間、よそ者からどんな風に見られているか気になるのかな。そういう意味では、広島県民は平均的な日本人だと言えるかもしれない。

 ――もっとこうしたら広島がよくなると思うことはありますか

 広島には世界遺産が二つもあり、全世界から観光客が訪れている。広島に欠けていることをあえて挙げるとしたらサービス精神。観光客を始め、外から訪れてきた人を心地よくする術(すべ)を、もう少し磨いてもらいたい。(聞き手・倉富竜太)

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