九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2、3号機の運転再開問題で、経済産業省資源エネルギー庁の横尾英博電力・ガス事業部長は9日午前、佐賀県庁を訪れ、古川康知事ら幹部らと会談。「電力需給の安定化や日本全体の復興のため、(停止中の原発の)再起動について地元の理解と協力をぜひともお願いしたい」と述べた。政府はこれまで、緊急安全対策で安全性が確認されているため「運転再開に問題はない」としてきたが、各地の原発で運転停止が長期化することを懸念し、事実上の再開要請に踏み込んだ。
これに対し、古川知事は「(原子力発電の)必要性も念頭に置かなければならないが、われわれは安全性の判断・確認を最優先する」と答えるにとどめた。
今夏の九州の電力需給をめぐっては、横尾部長は「石油火力発電の比率が低い九電は特に供給が厳しい」と指摘した。
会談には九州電力の深堀慶憲副社長も出席。玄海の2基と川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1号機の計3基が停止したままの場合、最大需要に対する供給力の余裕を示す予備率は、平年並みの気温ならば3・5%(59万キロワット)だが、昨年のような猛暑になれば1・6%(29万キロワット)に半減するとの見通しを明らかにした。
代替の火力発電所用燃料の調達状況については、原発の運転再開延期で4月から新たに必要となった燃料のうち、約6割の計100万キロリットルを確保し「8月上旬までの供給力は確保できる見通しになった」と説明した。
企業や一般家庭への節電要請に関しては、数値目標は今後の燃料調達状況を見極めて判断する考えを示した。
=2011/06/09付 西日本新聞夕刊=