【コラム】同族を強調する韓国の血縁外交(下)

 しかし、韓国系大使の赴任が内定したことが報じられると、むしろこちらの方が歓迎されているようだ。韓国では「大物」よりも「血縁」の方が歓迎されるからだろうか。韓国と近いということが、韓国ではどれだけ有利に作用するかを、スティーブンス現駐韓大使は確かに示してくれた。平和ボランティアとして韓国で生活した経験、シン・ウンギョンという韓国名、流ちょうな韓国語能力などのおかげで、スティーブンス大使は過去のどの大使よりも高い人気を集めた。

 最近米国から派遣される大使を見ると「相手国の一般の人たちが好むような人物」が間違いなく大きな基準として作用している。ちなみに中国には最近、ゲイリー・ロック商務長官が派遣されることになった。このことを中国のメディアは「中華の息子」「故郷に錦」などといった表現で大きく報じ、中国でも中国系大使を大きく歓迎する様子をうかがい知ることができる。

 駐韓米国大使の最近の重要な仕事は、韓国の大衆から人気を得て、米国のイメージをより前向きなものにすることへと変わった。政府間で行われる外交業務はやって当たり前のことで、それに加えて「その国に溶け込む外交」が求められているのだ。ヒル元大使もそうだったし、バーシュボウ元大使も大衆に近づこうと努めた。

 韓米首脳会談が年に数回行われ、緊急な議題があるときは政府高官が随時行き来する中、大使の役割も以前に比べて大きく変化し、大衆的な「ペルソナグラータ(好ましい人物)」が強く求められるようになった。しかし「韓国系」だからといって「われわれは他人ではない」という形で接近するのは好ましくなく、むしろ「われわれは他人」という姿勢で接近しなければならない。外交とは、血縁よりも国益が優先される世界だからだ。

姜仁仙(カン・インソン)国際部長

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る