このタイトルはどう読むのか?1981年発表当時にはよく質問されました。 70年代のナイアガラ・レコードには必ず“解説”をつけたものでしたが『レコードよりも解説文の方が面白い』と書かれる評論家のセンセもおられました。その後80年代のナイアガラものには逆に一切の解説をつけないという方針に変更しましたので、このタイトルの正式な読み方についての公式コメントは未だに無かったということになります。 結論から申しあげますと“どう読んでも構いません”、なのです。(敢えて副題をつけるなら“どう読んでも自由なタイトル”とします。恐らくこういう事例は世界及び日本歌謡史上でもレア・ケースでしょう) まず基本事項として『4 × 3』を英語読みすると“フォー・タイムス・スリー”ですね。これは別にNOVAに行かなくてもジェーン・シェパードさんに聞かなくても(古っ)英語が義務教育に組み込まれている日本ですのでお解りのことと思います。 ですから『FUN × 4』を、そのまま英語読みしますと“ファン・タイムス・フォー”となります。え?!歌の中では“フォー・タイムス・ファン”と歌っているではないか?!ですよね。(太田裕美が間違ったと思ったが、オマエが間違っていたのか?!) まず、この楽曲は言うまでもなくBB5の『FUN FUN FUN』にもう一個足して『FUN FUN FUN FUN』としたものです。故に歌詞カードの最後に“FUN FUN FUN FUN”と繰り返し書いたのです。完全なパロディーならこのタイトルでいいのですが、実はこの楽曲、BB5から頂いたのはタイトルとコーダだけで、実際は全編“BOB CREW”トリビュート・ソングなのですね。(これについて書くと『東京人11月号』オリジナル原稿200頁を更に超える分量になってしまうので割愛します) 単なるパロディー・ソングではないので、ひねって『FUN × 4』とタイトルをつけてオケを録音。松本隆君がそのストーリーを作り上げた、という工程であったわけです。(BB5の『FUN FUN FUN』は足し算のような気もしましたが“The more the merrier”なので掛け算にしました) ところが『4 × 3』というような“数字と数字”の場合は問題ないのですが、概念を倍にするとなるとハナシが違ってきます。『FUNの4倍』を英語でいうと“フォー・タイムス・FUN”となるのです。書くと『4 times FUN』。歌詞カードにコーラス部分は書きませんでしたが、オシャマンベ・キャッツさん用の歌詞カードには“4 times FUN”と書いておりました。 これを文字通りの『4 × FUN』というタイトルにすると、今度は“4のFUN倍、とは如何なる意味か?!”などと判じ物大会になりそうで、歌のテーマからは大きく逸れた別の話題を提供してしまうことになると感じました。(こうした方が“ナイアガラ的”だった、と言えないこともないですが、これではB5の“タイトルもじり”の意味性が薄まります) そこで最初の思いつきと字面を優先し、タイトルは『FUN × 4』としました。 81年当時、この『ファン・かける・よん』はどう読むのが正しいのでしょうか?とも聞かれました。どこかのインタビューを探すと出てくると思いますが、わたしは以前より“どう読んでも構いません”と答えておりました。 まさにこの結論は“多羅尾伴内”的です。 ある時は“フォー・タイムス・ファン”、またある時は“ファン・タイムス・フォー”、またまたある時は“ファン・かける・よん”。 而してその実体WAぁーーーーーーっ!!! 『どう読んでもいい!』 (2009.11.24)
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