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[28250] いんふぃにっと・けもも (IS+獣耳)
Name: メイプル◆ff889bf4 ID:240f305f
Date: 2011/06/08 16:08


この作品は獣耳と二頭身サイズしか出ません。

ほのぼの&癒し系をメインにしたものであり、バトル系はあまりないかもしれません。

以上を踏まえてどの獣耳っ党に入るか決めてください♪



[28250] 第0匹
Name: メイプル◆ff889bf4 ID:240f305f
Date: 2011/06/08 16:08


 目を覚ましたら、ちっこい箒に獣耳が生えていました。


 何を言ってるんだと思うが、俺の顔を覗き込んでいる二頭身サイズの箒が俺の上に乗っている。
 最初はまだ寝惚けてるのかなと思ったけど、何気に箒の頭に生えている獣耳を触ってみると、


 ふにゃっ……と、手触りのいい感触が指先に伝わった。


 おお、柔らかい……と調子に乗ってフニャフニャっと触ってると箒が『ほにゃ~』と顔を崩してくすぐったそうに身を捩っていた。


 なに、この可愛い小動物は?


 上半身を起こして今度は頭を撫でてあげると、恥ずかしそうに目を瞑ってなすがままにされていた。
 そのまま十分程堪能した後、手をどかしたら少し寂しそうな顔で見上げてきた。


 ……箒、それは流石に反則です。


 鼻を押さえ熱い液体が滴り落ちかけるのを阻止しながらもう一度箒を見た。

 剣道着の二頭身サイズの体型に頭に生えている獣耳――犬耳かこれ?――、極めつけは腰から生えているモフモフの尻尾。

 まずい、猛烈に触りたい。
 左右に振る尻尾を直接この手で満足するまで触りたいぞ。

 いやいや、落ち着け織斑一夏!
 今はそれどころじゃないだろ? 最優先すべきことは、何故箒がこんな状態になっているのかだろ。

 考えられることは幾つかある。

 原因その1、ここはまだ夢の世界。
 原因その2、昨日の授業で喰らった千冬姉の出席簿クラッシャの後遺症が見せる幻覚。
 原因その3、俺の妄想が現実となった。
 原因その4、考えたくないけど、束さんが絡んでる?

 この中から一番有力なのは……うわぁ、その4が一番可能性がありそうだぞ。
 あの人だったら何をするか分かったもんじゃないからな、特に箒絡みになると更にやばい。

 ポンポン

 満面の三日月の笑みを浮かべる束さんの姿を思い浮かんで頭を抱えていると、不意に胸元から軽い音が聞こえた。

 下を見ると、箒が不安そうな顔で俺を見上げて――

「一夏、苦しいのか?」

 心配そうな声で俺の心に刃を突き立てた。
 ええ、正直に言うと萌えました。それもう俺の硝子の心を砕くほどのクリティカルヒットでした。

「……ちょいタンマ」

 再び鼻を押さえるも指の隙間から赤い液体が滝の如く流れ落ちていった。
 て、ティッシュはどこだ。このままだと出血多量で萌え死んでしまう。

「い、一夏!? 大丈夫か!?」

 止まる様子がない鼻血の量を見て箒が慌てながら俺にしがみつく。

「ああ、血がこんなに!! だめだ、死んだらだめだ、一夏!!」

 涙目の箒を見て更に精神ダメージを喰らう俺は意識が半分失いかけていた。

 な、なんつう破壊力だこれは。冗談抜きで萌え死んでしまう……

 と、馬鹿なことを考えながら俺の意識は闇の底に沈んでいった。
 次目覚めるときは現実でありますようにと願いながら――再び深い眠り(気絶)に入った。









 目を覚ましたら、獣耳が生えているちっこい千冬姉が腕を組んでいました。


 あれ、なんかデジャヴを感じるけど?
 現在、俺はベッドの中にいた。心配そうな顔で俺を覗き込んでいる二頭身サイズの千冬姉を見て俺は自分の頬を抓った。

 全力全開手加減無用で頬を抓ると――滅茶苦茶痛かった。
 そんな俺の行動を見て千冬姉は一瞬だけ茫然とすると、すぐさま怒った顔で空いていた頬を思いっきり抓ってきた。

「イタタタタタ!?」
「何をやってるんだ。ようやく起きたと思ったら奇怪な行動を取るな、この馬鹿者……倒れたと聞いて心配したんだぞ」

 最後の言葉は声が小さかった為、聞き取れなかったが俺の事を心配していたことだけは分かった。
 両方赤くなった頬を擦りながら、千冬姉の方に顔を向けた。

 黒のスーツ姿の二頭身サイズの体型に獣耳――今度は狼耳?――、腰から生えているモフモフの尻尾。今はパイプ椅子に座った状態でこっちを見ていた。

 気絶する前に見た箒と同じ姿に俺は少し眩暈を覚えた。
 いや、なんというか……まさか千冬姉までこんな状態になってるなんて予想外だぞ。

 しかも夢じゃないときた。
 さっき試しに自分の頬を抓ったからこれが現実だと嫌というほど実感された。……千冬姉に抓られた頬の方が痛かったのは内緒だ。正直、千切れるかと思った。

 とりあえずこれが今の現実だということを無理やり納得して、俺は千冬姉に聞いてみた。

「なあ、千冬姉。なんでそんな姿になってるんだ?」
「ここでは織斑先生と呼べと言っただろうが。まあ、今は誰もいないから良しとしよう。……でだ、それはどう意味だ?」
「どういう意味って、そのまんまの意味だけど?」
「ん? 何が言いたいんだ?」
「いや、だから何で千冬姉はそんなに小さくなったんだ? しかも獣耳や尻尾が生えているし……」

 俺の質問に千冬姉は困った顔でこう答えた。

「何を言っているんだ? 私は『元々こういう姿』だぞ、一夏。まだ寝惚けているのか?」
「へ?」
「ハァ、どうやら疲れているみたいだな。来週のオルコットとの試合に向けて篠ノ之と一緒に訓練をするのは構わんが少しは休息を取るのも大事だぞ? あまり根を詰めすぎて疲労感を溜め込むな。いいな?」
「え、ええ? ち、千冬姉?」

 ど、どういうこと?
 千冬姉の姿が元々そういう姿? 来週にオルコット……セシリア、だよな?との試合? 俺が? なして??

「どうした? 何か聞きたいことでもあるのか?」
「え、えと来週にセシリアと試合するってどういうこと?」
「そこまで忘れたのかお前は? 四日前にクラス対抗戦でどちらが出るか揉めていただろうが。どちらがクラス代表になるかを決闘という形で来週の月曜のアリーナで試合することになった――思い出したか?」

 ああ、思い出した。
 けど、それはもう『一ヶ月前』に終わった出来事のはずだ。
 そう、もう終わっている筈の出来事の……はずだよな。

「やっと思い出したようだな。まあ、今日は体を休ませて大人しく寝ていろ。あとで食堂から夕食を取ってきてやる」
「あ、ありがとう千冬姉……」
「ふふ、気にするな。姉でありルームメイトである私の役割だ」

 ……ちょいと待ってください。今なんて言いましたか?
 それに一番肝心なことをまだ聞いていない。

「千冬姉、二つほど質問なんだけど……」
「なんだ?」

「俺の記憶違いじゃなかったら、確か俺のルームメイトは箒じゃなかったけ?」
「いや、お前のルームメイトは私だ。ちなみにここは寮母室だぞ」

「……最後に、女性って千冬姉みたいな姿だったけ?」
「そうだ」





 …………うん、今日は早く寝よう。疲れた時は睡眠が大事だしね。
 け、決して現実逃避をするわけじゃないからね!?





「なので、おやすみなさい」
「ああ、ゆっくり休め」

 俺の頭を暖かく小さな手が撫でてくれるのを感じながら、俺は三度目の眠りの世界に落ちていった。


 ああ、次こそはどうか現実でありますようにと願いながら……






 第一匹につづく



[28250] 第一匹
Name: メイプル◆ff889bf4 ID:2fe478dd
Date: 2011/06/08 23:34


 目を覚ませば、やっぱり夢ではありませんでした。


 昨日は結局晩飯を食うこともなく、ただひたすら寝て(現実逃避)いた。
 朝早く起きて改めて周囲を見回すと、俺が使っていた部屋と基本的に同じだったが布らしきものが床に散乱していた。

 ベッドから降りてそれを拾ってみると、下着――それも子供用のサイズの大人チックなものだった。

 あまりの出来事に固まったが、すぐ再起動してそれをそっと椅子の上に置いた。
 腕を額に置くと同時に汗を拭きとると、ふぅと息を吐く。

 うん、俺は何も見てない。

「で、済むと思うか?」

 ですよねー……

 ブリキのオモチャみたいな音で後ろを見ると、ベッドの上に仁王立ちで爽やかな笑顔を浮かべるお姉さまがいました。目が笑っていないけど。

 ご立派な狼耳と尻尾がピンと上に張り、タンクトップにスパッツという如何にも千冬姉らしい恰好で全身から威圧感を放っている。

 これ、もしかして死亡フラグ突入した?

 背中に冷たい汗が次々と流れ落ちる。
 部屋の中が一瞬で絶対零度の世界に陥った錯覚を覚え、俺は唾を飲み込む。

「どうした? なぜそんなに狼に追い詰められた子羊のように震えているんだ?」
「い、いやその……」

 二頭身なのに半端じゃない殺気ですが!?
 やばい、千冬姉の言葉通り正しく『狼(千冬姉)に追い詰められた子羊(俺)』だよ、この状況は!!

 外見上は愛らしい二頭身サイズの獣耳なのに今は物凄く怖い。
 しかも唇を薄く開いて左右に生えている犬歯が朝日で輝いている。

「覚悟はいいな、一夏?」

 両手の指を鳴らして笑みを消した千冬姉の姿に俺は回れ右をしてドアに向かって駆け出した。

 だが、それは甘かった。
 既に千冬姉は俺に向かって飛翔していたのだから。

「お仕置きタイムだ」




 ガブッ!




 その後、どうなったかって?
 俺の頭を見れば分かると思うぞ。

 くっきりと頭に歯形がついているだろ?
 あれは滅茶苦茶痛かった……頭の半分ほどと食いちぎられるかと思った、いや本気で。






 千冬姉のお仕置きから解放された後、食堂で朝飯を食っていた。
 ある程度覚悟はしてたが、周囲を改めて見回すと――耳耳耳耳耳耳耳――どこを見ても獣耳で埋まっていた。ついでに言うと全員二頭身サイズの制服姿だ。

 そんな女子生徒(?)の中に一人だけ男である俺は黙々と飯を食っているわけなんだが……こ、これは別の意味で精神的に辛すぎる。

 色んな種類の獣耳でピコピコと動かしてるんだぞ。
 彼女達が会話するたびに獣耳を揺らしながら尻尾とか振ってるんだぞ。
 しかも! 外見がもの凄く可愛いからお持ち帰りしたい程なんだぞ!!

 この環境を耐えろと仰るか?
 さっきから俺の内側から『我慢しなくていいんだぞ?』と囁く悪魔の誘惑から必死に抵抗してるけど……が、我慢だ。我慢するんだ織斑一夏!

「一夏?」

 心の中で激しく葛藤している最中に聞き覚えのある声が聞こえた。
 食べるのを一時中断して横を見ると、朝飯を載せたお盆を持った犬耳の箒がいた。

 ちょこんと首を傾げながら不思議そうに見上げる姿に、俺は持っていた箸を落としていた。
 駄目だ、俺の魂が半分まで削られた。

 昂ぶる気持ちを何とか無理やり抑え込んで自然な雰囲気で箒に朝の挨拶をする。

「お、おはよう箒」
「おはよう、一夏。……その、一緒に食べてもいいか?」

 俺に断る理由があると?
 あるわけがなかろう!!

「いいとも!」

 鼻を抑えながらサムズアップで箒を温かく迎える。
 俺の返事に満足したのか、箒は笑顔を浮かべてお盆を机の上に置くと席に――よじり登り始めた。

「んー! んー!」と箒の身長より少し高い席に必死に登ろうとしている姿に俺は心を打たれた。
 本日何度目の銃弾を打たれたのか分からない。けど分かることが一つだけあった。

 あの箒が一生懸命登ろうとしている光景に悶えている俺だ!
 昨日も反則だったのにこれもかなり反則だろ!?

 上半身を後ろに回し、背中を預けていた背もたれに拳を何度も叩きつける。
 無理無理無理無理! ただでさえ今の状況にこれがプラスされたら保たないって!!

 必死に理性を保たせると、気を取り直して前を向くと――まだやっていた。

「……箒」

 俺の心は鉄の塊。
 この一瞬だけでも煩悩から我が魂を守り給え。

 後ろからそっと腕を伸ばしきった状態の箒の左右の脇を抱える。
 驚いた顔で肩越しからこっちを見ていたが、それを気にしないように箒の体を反転させて席に座らせた。

 意外と軽かったことに少し驚いたけど。

「あ、ありがとう……」
「お、おう……。さ、冷めないうちに食っちまおうぜ」
「そ、そうだな。い、いただきます」

 顔を赤くして朝飯を食い始めた箒――小さな手で箸を動かす姿にむず痒い気持ちが湧き上がってきた。

 なんだろ、この父性を刺激される気分は?

 見てるこっちが何ともいえない空気に包まれる感覚を覚える。
 それが原因だったのか。俺は無意識に箸に摘まんでいた魚の切り身を箒の口に運んでいた。

「箒、あ~ん」
「ふえ? いち……はむっ」

 条件反射に近い反応で切り身を咥えると美味しそうに口をもごもごしていた。

「美味いか?」
「もぐもぐ……ごくん……うん」
「んじゃ、もう一切れいくか? はい、あ~んと」
「あ、あ~ん……はむっ」

 嬉しそうに食べながら尻尾を左右に振る箒に――やばい、これなんか癒される。

「一夏、もう一回……いいか?」
「望むところ!」

 結局、俺の焼き魚の身がなくなるまで箒の餌付けは続いた。
 あとで箒の焼き魚をもらったが、なんか妙に気恥ずかしかったのはなんでだろう?





 所変わって、飯を食い終わった後箒と一緒に教室まで来たのだが――ここまでの道中で俺の歩行に合わせようと付いてくる箒を見て、思わず抱きしめかけたのは内緒だ――ドアの上にあるプレートを見て目を細めた。

「なあ、箒。ここって俺達の教室だよな?」
「そうだが?」
「……1-1だったよな?」
「いや、『1-Dog』だが?」
「……和訳すると一年犬組ですか? ちなみにもしかしてこの教室にいる女子生徒は全員犬耳なんですか?」
「正確には半分以上だな。けど何を今さら言うんだ?」
「いや、もうなんでもいいや……うん、入るか」

 ドアに手をかけ、教室内に入ると……

「と、届かないですわ」

 黒板消しを持った金髪ロール頭の女子生徒が背伸びをしていた。

 IS学園指定の制服を着た二頭身サイズの『たれ耳――ダックスフンドかな?――』を生やした金髪ロール、腰に尻尾を生やしていた。

 黒板の一番上に書かれた文字列を消そうと腕を伸ばして背伸びをする彼女――セシリア・オルコット――との出会いがこれだった。




 手伝った方がいいのかな、これって?




 第二匹につづく


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