2008年10月24日
第61回九州弁護士会連合会定期大会シンポジウム
障がい者の人権と障害者自立支援法
〜障害者自立支援法のかかえる問題点と同法の今後を考える〜

 
 2008年10月24日(金)に別府ビーコンプラザにて「第61回九州弁護士会連合会定期大会シンポジウム」が開催されました。会場には約500名の方があつまり、障害者自立支援法施工後の障がい者の声やそれを支援する事業所の現状、介護職員の不足等、弁護士を中心に様々な立場、目線で障害者自立支援法の今後について議論されました。



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日 程/2008年10月24日(金)
時 間/9:15〜12:00(開場8:30)
司 会/シンポジウム実行委員会 委員 吉村一洋 氏

1.開会の挨拶 09:15〜 九州弁護士会連合会第61回定期大会実行委員長」 岩崎 哲郎 氏
2.基調報告 09:20〜09:50  「障がい者の権利と法的諸問題について〜自立支援法を中心に〜」   シンポジウム実行委員会委員長 平山 秀生 氏
3.基調講演 09:50〜10:30  「障害者自立支援法と福祉サービス請求権」 鹿児島大学法科大学院教授 伊藤 周平 氏
4.パネルディスカッション  10:40〜12:00 ◇司会 弁護士[大分県弁護士会所属] 千野 博之 氏
◇パネリスト 歩みの会代表
「自立支援法の問題点(主として基盤整備について)」
寄村 仁子 氏
NPO法人自立支援センターおおいた理事
「利用者負担(応益負担)と障害程度区分の問題点
河野 龍児 氏
弁護士[熊本県弁護士会所属].熊本学園大学社会福祉学部教授
「障害者の人権確立に向けてー障害者の権利条約から見た障害者自立支援法―」
東  俊裕 氏
◇コメンテーター 鹿児島大学法科大学院教授
「障害者自立支援法と課題のゆくえ」
伊藤 周平 氏
5.閉会の挨拶 12:00〜 大分県弁護士会副会長 楠本 敏行 氏

今なぜ「障害者自立支援法」を問題とするのか
九弁連理事長 徳田靖之

日本弁護士連合会は、2001年11月、第44回人権大会において、「障がいのある人に対する差別を禁止する法律の制定を求める宣言」を採択した。この宣言は、国際人権(社会権)規約委員会のわが国に対する勧告を踏まえ、わが国における「障がい者対策」の国際的な遅れを厳しく指摘したうえで、障がいのある人々の完全な社会参加と差別のない社会を実現するために、新たな立法が必要であることを明らかにしたものである。
 しかしながら、その後のわが国における「障がい者対策」は、差別禁止法の制定に向かうどころか、財政負担の軽減化のために、「自立」「自己責任」といった名目の下に、逆に障がいのある人々の社会参加を阻害し、一層の負担増を強いるという方向で推移している。
その典型が「障害者自立支援法」である。
中でも、「障害基礎年金」の大幅な増額や就労の場の確保等の収入増加政策には全く手をつけず、福祉サービスの受給に一定割合の自己負担を課す「応挙負担」は、もはや福祉の名に値しない制度として、障がい当事者や家族のみならず、福祉サービス事業者からも厳しい批判を浴び続けている。
 障がいの重い者ほど収入の道がなく、受けるべきサービスの量が多いのであるから、利用したサービスの対価の一定割合を負担させられるということになれば、障がいの重い者ほど負担が圧倒的に重くなってしまうのは明らかであって、弱者ほど苦しめられる制度等というのは、反福祉政策としかいいようがない。
 本シンポジウムは、こうした「障害者自立支援法」の問題点を、日本国憲法の人権規定に照らして明らかにしたうえで、その抜本的見直しを通して日弁連宣言が求めた「障がいのある人々の完全な社会参加と差別のない社会を実現する」ための道すじを描き出さんとするものである。
 合わせて九弁連としては、本シンポジウムを機として、基本的人権の擁護を使命とする弁護士の職責として、障がい者問題に取組む自らの姿勢を改めて問い直し、「差別禁止法」の実現に向けての決意を新たにしたいと念願している。




【問合先】
NPO法人 自立支援センターおおいた
〒874-0942 大分県別府市千代町13-14 ユニバーサルマンション2F
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