【社会】3号機爆発、高濃度水素で破壊力増す 「爆轟現象」超音速の衝撃波2011年6月6日 10時01分 3月14日に東京電力福島第1原発3号機で起きた水素爆発は、衝撃波が音速を超える「爆轟(ばくごう)」と呼ばれる爆発現象だったことが、財団法人エネルギー総合工学研究所(東京都港区)の解析で分かった。発生した水素の量の違いで、1号機より破壊力が高い爆発が発生した。 3号機の爆発は灰褐色のきのこ雲のような煙が上空約300メートルまで立ち上り、海外の一部では「核爆発」説も流れた。白煙が横方向に噴き出すような形の1号機の爆発に比べて格段に規模が大きかった。 3号機は3月13日午前2時40分、原子炉の燃料棒を冷やす注水機能が停止。燃料棒の周囲の水が温まって水蒸気となり、燃料棒を覆うジルコニウム合金と水蒸気が化学反応を起こし、大量の水素が発生した。 水素は酸素と反応すると爆発し、空気中の水素濃度が18%を超えると爆轟現象が起きやすくなる。3号機では最終的に540キログラムの水素が発生。原子炉建屋最上階での濃度は約30%となり、注水停止から約32時間後の14日午前11時1分に爆轟が起きた。燃焼時間は0・02秒で、建屋内の圧力は約60気圧(通常は1気圧)に達し、建屋上部が吹き飛んだ。一方、1号機は、炉内の燃料棒も3号機より少なく、水素発生量は3号機の半分で、建屋最上階での濃度は15%にとどまった。このため爆轟は起きずに水素の燃焼は数秒間続き、建屋の壁が壊れ煙が噴き出した。 内藤正則・同研究所部長は「3号機は建屋の鉄骨がぐにゃぐにゃに曲がっており、爆轟の破壊力の大きさを裏付ける。航空写真からは1号機の壁は建屋近くに崩れ落ちており、解析結果とよく一致する」と話している。 同研究所は、経済産業省から委託を受けて開発したシミュレーションソフトを使い、水素がどのように爆発したかを解析した。 【爆轟】爆発は、燃焼が広がっていく速度が音速(秒速約340メートル)を超えるかどうかで「爆轟」と「爆燃」に分けられる。爆燃は大きな衝撃波を伴わず被害が比較的軽いことが多い。打ち上げ花火を上げる時の火薬の爆発は爆燃で、上空で花火が開く時には一部が爆轟。2000年の日本油脂(現日油)愛知事業所武豊工場の爆発事故や01年の浜岡原発配管破断事故でも起きたとされる。 (中日新聞) PR情報
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