news099.gif
REUTERS
ニュース

「Wii U」は投資家の関心を引かなかった? 「ソーシャルへシフトすべき」との指摘も

「Wii U」を発表した任天堂だが、株式市場では売りを浴びることになった。「ゲーム市場がソーシャルネットワークにシフトしていることを見落としている」「ハードウェアにこだわりすぎでは」と投資家は考えているという。(ロイター)
2011年06月08日 18時58分 更新

 任天堂によるWii後継機の発表は投資家の関心を引くことができなかったようだ。同社はゲーム市場がソーシャルネットワークにシフトしていることを見落としているとして、株価は過去五年で最低にまで落ち込んだ。

 「Wii U」はタッチパネルを搭載した新しいコントローラを備えており、MicrosoftのXboxのようなライバルからハードコアゲーマーを獲得する狙いがある。

 だが8日の東京市場で、任天堂の株価は一時6.5%下落した。これは3月の東日本大震災以降最大の下落率であり、2006年末にWiiが発売されて以降はなかった水準に落ち込んでいる。

 投資家たちは、Wii Uについてもっと価格やその他の機能について具体的に知りたがっている。また投資家は、任天堂がハードウェアにこだわりすぎているのではないかと不安に思っている。ゲーム市場の戦いはよりソフトウェアのほうへシフトしているからだ。

 「新しいデバイスは一部の玄人には好まれるだろうが、わたしは任天堂はもっとソーシャルネットワーク市場にシフトしていくことを期待したい」と、はコスモ証券の清水三津雄 投資情報部副部長は話す。

 「任天堂はビジネス戦略を再考し、もっとアグレッシブにソーシャルゲームにシフトすべきという、投資家からの警告だ」

 AppleのiPhoneより大きく、iPadよりは小さい分離型デバイスによるイノベーションについて、現時点では業界内は好評価を与えている。

 新コントローラはカメラを搭載し、ビデオチャットも行え、ゲーマーをより長く熱中させるさまざまなボタンとアナログスティック、機能を備えている。

 「任天堂は現時点では時代を先取りしている」とWedbush証券のマイケル・パッチャー氏は話す。「タブレットでできることは何でもでき、ユーザーは『なぜわたしのiPad 2はこんなゲームができないんだろうか?』と考えるだろう」

 任天堂はゲームハードで首位を保ち続けている。だが「ニンテンドー3DS」の残念なスタートの後、Microsoftとソニーからユーザーを獲得するために戦っている。

 ゲーム業界の首脳は、Wii後継機がビデオゲーム市場に再び活を入れてくれることを期待している。同市場は650億ドル──ハリウッドを上回る規模──だが、後退局面からの回復に苦戦している。

 Wii Uは現在開発中だが、来年の4月から12月の間に発売される予定だ。具体的な価格は決まっていないが、299ドルか、KinectがセットになったXbox 360と同程度ではないか、という推測もある。

 「新しいコントローラーは技術革新だ」とSterne Ageeのアナリスト、アーヴィンド・バーティア氏は話す。「全体的にWii Uはすばらしく見える。ただ、わたしには驚きはなかったことを言っておかなければならない」

 Wiiはジョイスティックとマウスに慣れたゲーマーにモーションコントロールというものをもたらした。だが新しいWii Uが移り気なマーケットで勝利できるかどうか、それは分からない。

 Wiiの大成功が再び繰り返されることがないとしても、新しい任天堂のゲーム機は、Microsoftとソニーに対してプレッシャーにはなるだろう。

 「さまざまな理由でWii Uはスマートだ。ここには2つのレベルのインタフェースがあり、タッチスクリーンはカジュアルゲーマーに、ボタンはよりコアなユーザーのためにある」と、ゲーム情報サイト・gamespot.comの編集責任者、リカルド・トレス氏は述べた。「コアゲーマーの関心を引くゲームソフトも多い」

 「これは開発者向けのサンドボックスのようだ。最大のエクスペリエンスが発揮できるかどうかは開発者次第だ」

 だが全てのゲーム機メーカーは、ゲームもできるスマートフォンの洪水におぼれてしまうリスクに直面している。調査会社のiSupplyによると、2010年、こうしたスマートフォンの出荷は10億台以上に上る見通しだ。これに対し家庭用ゲーム機は5000万台、携帯機は4000万台にとどまる。

 「世界的な普及によって、スマートフォンはゲーム機に対する脅威になりうるポテンシャルを持つようになるだろう」という。

注目はコントローラ

 Wii Uは任天堂としては初のHDグラフィックス対応デバイスとなる。CPUはIBM製、GPUはAMD製になる見通しだ。だが、注目の的になったのはそのコントローラだった。

 6.2インチのタッチスクリーンはセカンドディスプレイのように使用でき、テレビ上の映像と同じ映像を表示したり、あるいは別の付加情報をプレイヤーに伝えることもできる。これは競合製品に比べ大きな強みになる。

 Wii Uコントローラではビデオチャットを利用でき、また任天堂のオールドゲームを楽しむこともできる。モーションセンサーも内蔵し、現行Wiiのリモコンも利用できる。一連のボタンは、ハードコアゲーマーに対しFPS(ファーストパーソンビューシューティング)も楽しめることをアピールできるかもしれない。

 コントローラはスタンドアローンのゲーム機のように使うこともできる。例えば誰かがテレビを見ている場合でも、コントローラのディスプレイを使ってゲームを続けられる。ただ、コントローラはWii U本体とワイヤレスで接続していないと機能しない。

 「これはひも付きのエクスペリエンスにとどまっており、タブレット端末と全く同じというわけではない」と、BMO Capital Marketsのアナリスト、エド・ウィリアムズは指摘する。だが「疑いなくこれは任天堂を有利にする。しかし、これがコンシューマーにどう受け入れられるか、よく見ていく必要はある」という。

 開発表明されたUbisoftの「Ghost Recon」やセガの「Aliens」、Electronic Artsの「Battlefield 3」など、FPSを含むゲームタイトルのラインアップからは、任天堂がハードコアゲーマーを呼び戻そうとしていることがうかがえる。

 「Wii U向けにゲームソフトを開発してほしいというわれわれの要望に対し、多くのゲームデベロッパーが既に応えてくれている」と任天堂の岩田聡社長は話す。「より深くなったゲームプレイで、全ての人々の好みを満足させられるだろう」

 発売までは1年以上あり、任天堂はさらに改善を図り、コントローラにも変更を加えるかもしれない。

 今週、ソニーは携帯ゲーム機を299ドルで発売すると発表した。だが、すぐに「高すぎる」と批判された。

[ロサンゼルス 8日 ロイター]

copyright (c) 2011 Thomson Reuters. All rights reserved.

(翻訳責任について)
この記事はThomson Reutersとの契約の下でアイティメディアが翻訳したものです。翻訳責任はアイティメディアにあります。記事内容に関するお問い合わせは、アイティメディアまでお願いいたします。

(著作権、商標について)
ロイター・コンテンツは、トムソン・ロイター又はその第三者コンテンツ・プロバイダーの知的財産です。トムソン・ロイターから書面による事前承認を得ることなく、ロイター・コンテンツをコピー、再出版、再配信すること(キャッシング、フレーミング、又はこれらと同等の手段による場合を含む)は明示的に禁止されています。トムソン・ロイターは、コンテンツの誤謬又は遅延、或いはコンテンツに依拠してなされたあらゆる行動に関し一切責任を負いません。 Reuters(ロイター)及びReuters(ロイター)のロゴは、トムソン・ロイター及びその関連会社の商標です。ロイターが提供するその他のメディア・サービスについてお知りになりたい場合は、http://about.reuters.com/media/をご参照ください。

Special

アクセストップ10

ランキングトップ30 »

Feed Back


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ