湖国で夢のホテルマンに 福島で内定取り消し
東日本大震災の影響で就職内定を取り消された福島県出身の若者が、滋賀県で新たな職場を見つけ、第二の人生を歩み始めた。今春高校を卒業したばかりの18歳で、正式採用を目指して実習に励んでいる。夢をあきらめない懸命な姿勢に支援の輪が広がっている。
野洲市のビジネスホテル「セントラルホテル野洲」で実習中の西坂隼人さん。福島県の温泉旅館に就職を予定していたが3月11日に地震で損壊し、閉鎖が決まった。だが、西坂さんは内定を失ってからもホテルで働くことにこだわり続けた。
西坂さんから相談を受けた高校の就職支援員が兄に話をしたところ、兄の親友にホテルの支配人がいることが分かった。兄弟から就職支援の依頼を受けたのが、同ホテルの川口廣治支配人だった。
川口支配人がホテルの経営会社と相談したうえで面接に応じることが決まると、西坂さんは母と妹を置いて宿泊先も決めずに深夜の高速バスに乗り込んだ。4月14日の面接では「お客さんに喜んでもらえる仕事がしたい」との思いを訴えて合格し、翌日から半年間の実習が始まった。現在はフロント業務や客室清掃などに励む日々で、「地元から離れることになったが、滋賀県ですばらしい人たちと出会えた自分はラッキーだと思う。このチャンスを生かして一日も早く職場で必要とされる人材になりたい」と決意を新たにする。
実習をめぐっては、県中小企業団体中央会が支援に動いた。実習経費などを助成する国の新卒者就職応援プロジェクトを適用し、正式採用を後押ししている。これまでに同プロジェクトを通じて被災地から求職者を受け入れた県内企業は2社で、同中央会は「被災地を支援するため県や関連機関と連携して引き続き就職支援に取り組みたい」という。
【 2011年06月08日 08時50分 】
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