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印刷する[2011.06.08]

パチンコばかりバッシングするな 朝日新聞の取材で「パチンコがなくなる日(主婦の友新書)」の著者・POKKA吉田氏が語る

 6月7日の朝日新聞にてフリーライターであるPOKKA吉田氏は、震災以降に拍車のかかったパチンコバッシングに対して、「批判はOK。でも正しく批判を」と釘を刺した。石原都知事の電力発言に関する矛盾点や、グレーゾーンと呼ばれる換金問題などにも踏み込んだ内容となっている。取材でのやり取りは以下の通り。

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――たたかれてますね。パチンコ業界。

 「震災を機に批判が噴出しています。5月25日、東京・池袋でパチンコ反対集会が開かれ、大勢の人が批判の声を上げていました。1日には大手チェーン店の経営者が覚醒剤取締法違反容疑で逮捕され、バッシングが加速しています。しかし、感情的で根拠に乏しく、パチンコそのものとは無関係な批判も目立ちます。店も客もそんな批判は無視していいと思います」


――この夏、電力不足が懸念されています。パチンコの消費電力は大きいのでしょう。東京都の石原慎太郎知事も指摘していました。

 「石原さんは当初、パチンコ店の消費電力が450万キロワットと発言しましたが、東京電力管内の4千店で推計約84万キロワット、夏の最大使用電力の1・4%です。業界はさらなる節電計画を立て協力する姿勢を見せてます」


――石原さんは電力消費量が少ない深夜の営業を提唱していますね。

 「風俗営業店の営業時間は日の出から夜半までと法律で決まってます。常に深夜営業するには法改正が必要です。そもそも夜中にパチンコ店が営業していることが、社会のために良いのか。彼は真剣に考えたんでしょうか」


――「韓国は国民を堕落させるとしてパチンコを全廃した」との発言もありました。

 「これも間違いです。日本のパチンコ台の液晶演出が使われているが、お金を入れ、ただ図柄がそろうのを眺めているだけの『メダルチギ』というものです。しかも韓国政府が良心的な政策判断をして廃止したのではない。盧武鉉・前大統領の親族がメダルチギをめぐる許認可にかかわったとされる疑獄事件が主な原因です。韓国がメダルチギを全廃したことと、パチンコと何の関係があるんですか」

 「石原さんは、大震災に乗じて持論を展開しているようにしか見えない。批判は自由ですが、勉強をしたうえで正しい批判をすべきです」

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――では、この批判はどうでしょう。パチンコの換金行為は、刑法が禁じる賭博そのものじゃないですか。

 「確かに。換金問題は業界最大の傷です。店は出玉を景品に換え、景品交換所はこれを現金に換える。交換所は景品を卸問屋に売り、店は卸から景品を買う。パチンコ店は直接、換金に関与しない仕組みです。この『3店方式』と呼ばれる仕組みは、50年前に大阪で生まれ、府警が黙認しました。以後、警察庁は『直ちに違法とは言えない』として府警の方針を全国的に容認してきました」


――そんなことがまかり通っていいのですか。

 「3店方式はパチンコ店だけに認められています。他の業者が、この方式で換金すれば、すぐに摘発される。これがパチンコをグレーな存在としている一番の要因です」


――合法化しようという声はないのですか。

 「政界や業界の一部でも声が上がっていますが、警察が絶対に同意しないでしょう。合法化は、いってみれば3店方式を違法だと認めるのと同じです。警察は50年間、違法状態を見逃してきたことになる。合法化など認めるはずがありません」


――北朝鮮への送金問題も指摘されています。

 「世の中で言われるほど多くないと思います。近年の北朝鮮に対する世論はとても厳しく、これまで通り送金する環境にありません。本来、稼いだおカネを送金などしたくないのが人情ですから、世論を気にして送金をやめた店もある。ゼロとは言わないが、激減しているでしょう」

 「いま、パチンコ店経営者の国籍は韓国が5割、日本が3割、中国・台湾と朝鮮籍が各1割とみています。統計があるわけじゃない。個人的感触です。日本国籍を取得した人もいて複雑です。パチンコ=北朝鮮というのも正しい批判ではありません」


――パチンコはどこへ行くのでしょう。

 「パチンコの年間売上高は20兆円。鉄鋼業と同規模の巨大産業です。30万人を雇用するレジャー産業が他にありますか。ただ、私は巨大だからつぶすなという論にはくみしません。依存症や青少年への悪影響などの弊害も考慮しないといけない。パチンコをなくすことで社会的な収支がプラスになると、国が考えるなら、つぶされても仕方ない」


――意外に冷たいですね。

 「私製賭博場ともいえるパチンコ店が全国に1万2千店あり、批判を受けながらも1700万人が楽しんでいる。むしろグレーな存在さえ許容する日本社会を象徴するものだと、好ましくみています」

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――東北の被災地では、パチンコ店が盛況だそうです。

 「地方では、地域社会における機能が都市部とは違います。娯楽の少ない地方では、地域コミュニティーの拠点になっている店も多いんです。営業を再開した店で、店員や客同士が無事を喜び合う光景もあったと聞きます」

 「しかし、近年はギャンブル性の高い台が多く、多額の投資を伴う鉄火場になっている。これでは好ましい拠点とはいえません。手軽な娯楽を楽しむコミュニティー拠点となる努力が業界全体に求められます。そのうえで身を低くし、社会の許しを得ながら生きていけばいいのです」


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