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福島の土壌使い、野菜の放射能吸収量調査
東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、農林水産省と福島県は、野菜や果物が土壌から放射性セシウムをどれだけ吸収するかを示す「移行係数」を共同で調査することを決めた。
これまで水稲以外に国内でのデータはほとんどなく、事故後に放射線量が高くなっている同県内で栽培している野菜などについて地域や品目ごとに係数を調べ、自治体や農家が今後作付けを行う際の参考にしてもらう。
農作物がどれだけ放射性物質を吸収するかは、土壌の性質のほか、気温や降水量など気象条件によって変化する。調査はコメのほかキュウリやトマトなど野菜を中心に少なくとも十数種類について行われる見通し。県内の複数の農地や施設で、すでに作付けされている品目ごとに行うほか、県農業総合センター(郡山市)や茨城県つくば市などにある研究施設に土壌を持ち込み、新たに栽培する品目についても調べる。
品目ごとに条件を変えて複数の係数を算出することにより、農家などはそれぞれの農地に近い条件の下でどの作物を栽培すればよいかを判断できる。品目によっては、来年の作付けから移行係数を参考にできる見込みだ。
果樹についても、木の根が地中深く張っているため地表にたまりやすいとされるセシウムの影響を受けにくいと考えられるものの、モモが全国2位の生産量を誇るなど福島県で果樹の生産が盛んなことから、調査対象とする方向で検討されている。農水省と県は、調査を少なくとも数年間は続け、データを蓄積したいとしている。
移行係数 農作物に含まれる放射性セシウムの暫定規制値は食品衛生法で1キロ・グラム当たり500ベクレルと決められ、移行係数を計算することで農作物が収穫までに蓄積するセシウムが暫定規制値を上回るかどうかがわかる。水稲の係数は過去のデータから「0.1」とされ、土壌1キロ・グラム当たりのセシウムは5000ベクレル以下でなければならない。農水省は野菜や果物など計21品目の係数を5月に示したが、多くはチェルノブイリ原発事故による影響を基にした文献から引用されている。
(2011年6月7日 読売新聞)
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