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一部地区で高線量検出 住民の不安拡散 相馬

相馬市の日立木地区で、6日開かれた「放射能に関する講演会」。大勢の住民が参加し、疑問や不安をぶつけた

 福島第1原発から40キロ近く離れた福島県相馬市で、放射性物質への不安感が広がっている。計画的避難区域などには指定されていないが、阿武隈山中の一部の地区で高い放射線量が検出され、「住み続けて大丈夫か」といった問い合わせが市に寄せられている。市は線量が高い地区の住民の健康診断などを行っているほか、避難希望者には仮設住宅を提供することも決めている。
<説明会、質問次々>
 6日夜、相馬市南部の日立木地区であった放射能などの説明会には、住民約200人が集まった。市によると、同地区の放射線量は毎時0.4マイクロシーベルト程度だという。
 市の依頼で訪れた東京大医科学研究所の坪倉正治医師(血液腫瘍内科)は「この線量なら避難は必要ない。うがいや手洗いをし、ほこりの立つ場所に近づかないようにしてほしい」と説明した。
 説明会終了後、坪倉医師の周囲に大勢の主婦が集まって「放射性物質は小児ぜんそくに影響はないのか」「庭の野菜を食べても大丈夫か」などと質問し、関心の高さを示した。
 「心配するのも無理はない。できる範囲で説明したい」と坪倉医師は話す。ただ、「同じ相馬市でも地域によって線量は5〜6倍の違いがあり、一様ではない。それを理解し、冷静に行動してほしい」と呼び掛ける。
<校庭の表土除去>
 放射性物質に対し、市民の関心が高まってきたことには理由がある。市西部の玉野地区で、高い放射線量が検出されているためだ。
 玉野地区は伊達市に隣接する山間部。相馬市が5月、地区の小中学校で空間放射線量を計測したところ、毎時2.3〜3.0マイクロシーベルトと市中心部の毎時0.25マイクロシーベルト程度よりかなり高い数値になった。そのため相馬市は校庭の表土を除去し、線量を0.5マイクロシーベルト程度まで下げた。
 玉野地区は、高い放射線量のために計画的避難区域になり、全住民の避難が進行中の飯舘村に近い。一部住民の避難が具体化している伊達市霊山町石田地区と隣接していることもあって、住民に不安が広がっている。
 玉野地区の主婦島美紗子さん(28)は「長女がまだ2歳で、放射能の影響が心配」と話す。これまでは祖父母が栽培した減農薬の野菜を食べていたが、原発事故後は長女の分だけスーパーの野菜に変えたという。
 夫と長女との3人で、市内の別の場所に建設された仮設住宅も申し込んだ。少しでも長女を線量の低い場所で育てたい、との思いからだ。
 市は希望があれば仮設住宅への入居を認める方針で、これまで玉野地区の12世帯が避難の意向を示しているという。
(加藤敦、勅使河原奨治)


2011年06月08日水曜日


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