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【サッカー】

<目撃者>ザック監督「大満足」も 目指す頂はまだまだ遠い

2011年6月8日 紙面から

◇キリンカップサッカー2011 日本0−0チェコ

 サッカーの国際親善試合、キリンカップ最終戦は7日、横浜・日産スタジアムに6万5856人の観衆を集めて行われ、日本代表はチェコ代表と0−0で引き分けた。今大会の3試合とも0−0で終わったため、大会史上初めてペルー代表を含む3チームが同時優勝となった。日本は4連覇。日本は欧州組のDF長友佑都、MF本田圭佑らが先発に復帰。3−4−3の新布陣で挑んだ日本は2試合連続で無失点に封じたものの、堅守のチェコを突き崩すことはできなかった。

ペルー、チェコ戦を含む計9日間の“キャンプ”打ち上げ。スタジアムは歓喜の膨張とため息の収縮を繰り返しながら、スコアレスドロー。そこに「2戦連続」というただし書きを添えても、現実主義のイタリア人指揮官にしてみれば、大満足の総決算だったようだ。

 「数日間の練習でここまでできるのはたやすいことではない。これほどまでにできるのは信じられない」

 「選手の出来には非常に満足している。良い意味でサプライズだった」

 9月にW杯予選を迎えるが、今回の最大のテーマは先を見据えた新戦術「3−4−3」の試運転と習熟にほかならない。スピードと持久力を兼備するDF内田、DF長友の攻撃力を前面に押し出したトライだ。

 象徴的な場面がある。後半9分、敵陣最前線でFW李がポストプレー。落としたパスを絡め取ったのは内田だった。DF吉田、DF伊野波から入る積極的な縦パスが攻撃のスイッチになった。全体がコンパクトにプッシュアップされ、サイドの位置取りは従来より10メートル以上高い。まさに新システムの「恩恵」だった。

 ただ、指揮官の賛辞をそのまま受け取るのは早計だろう。難易度Eの高等戦術だ。アジア杯直後、ザック監督はこう語っている。

 「常に『3−4−3』のシステムでやっていると思われがちだが、そうではない。自分にとって『3−4−3』は大切なものだ。ただ、実際に使ったのはウディネーゼとミランの時だけ。プレシーズンからチームを見られたことでシステムを構築できたんだ」

 シーズン途中から指揮を執ったインテル、ユベントスでは十分な時間がなく断念せざるを得なかったという。世界トップレベルのクラブであっても、それだけ習熟が困難でリスキーなのだ。

 開始20分以降は両サイドにフタをされ、パスは回ってもアタッキングサードに進入する機会は減った。自国でプレーする若手が多くMFロシツキーら「かなりの有力選手がいない」(ビレク監督)というチェコの現状も差し引かねばならないだろう。ベースを堅持しながらザック監督は対世界を見据えて舵(かじ)を切った。その視線の先の頂は、まだまだ遠いはずだ。

 

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