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揺らぐ25%削減目標 温室効果ガス、原発頼れず達成困難

産経新聞 6月7日(火)7時57分配信

 ■産業界反発、削除案も

 東京電力福島第1原子力発電所事故を受け、2020年までに温室効果ガスを1990年比で25%削減するという日本の目標達成が困難となっている。温室効果ガス削減の切り札だった原発に頼れなくなったためだ。与野党は25%削減目標の取り下げを含む見直し案を協議し始めており、鳩山由紀夫前首相が国際的に公約した目標は根本的な修正を迫られつつある。

 「原発復旧の先行きにめどがついていない状態では目標の達成は困難だ」。日本経団連の米倉弘昌会長は6日の会見で、25%削減目標への懸念をあらわにした。

 25%削減目標は09年9月に鳩山前首相が表明したものだ。菅直人首相も1日の参議院本会議で、この目標について「従来と変わりない」と語ったが、経済界の懸念と歩調を合わせるように目標の見直しが大きな政策課題となりつつある。

 与野党は今国会で審議中の地球温暖化対策基本法案の見直し協議に着手。この中で、同法案に盛り込まれた25%削減を取り下げて新たな目標を法律成立後に定める案や、25%の数値を残しつつも将来の見直しを規定する案などを検討。温暖化対策税を導入する時期の明記をやめたり、排出量取引の導入を見合わせる案なども議論されている。

 目標修正の直接的な原因は原発事故だ。政府が昨年6月にまとめたエネルギー基本計画は、30年までに14基以上の原発を増やし、電源に占める原発の割合を05年度実績の約30%から53%に引き上げるとしていた。

 だが、原発事故でこうした計画の実現は事実上、不可能に近くなった。原発を増やせない分を火力で補った場合、30年の温室効果ガス排出量はエネルギー基本計画での想定に比べて1億6600万トン増える。25%削減の基準年である1990年と比べると、約13%も上積みされる計算だ。

 それでも25%削減を目指すなら、火力ではなく再生可能エネルギーの拡大が不可欠となるが、太陽光発電などはコストが高く、国からよほど巨額の補助がないかぎり、経済界の負担はあまりにも大きくなる。

 実際、産業界からは「このままでは日本での操業はカントリーリスクになる」(鉄鋼業界幹部)、「3〜5年で日本から出ることになるだろう」(別の製造業幹部)などと反発する声が続出し、25%削減の目標自体を大幅に見直さざるを得ない状況となりつつある。

 21世紀政策研究所の澤昭裕研究主幹も「原発と再生可能エネルギーの比率は地に足のついた現実的な議論が必要だ」とした上で、25%目標は「棚上げにすべきだ」と指摘している。

 もっとも、11月末に南アフリカで開かれる国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)に向けた準備が始まっている国際交渉で、政府は日本など一部の先進国にのみ温室効果ガス排出量削減を義務づけた京都議定書の単純延長に反対の立場を崩していない。

 そんな中で25%削減目標も引き下げれば、「日本として地球温暖化問題にどのように対処するのか示すことができなくなる」(与党幹部)との懸念もある。

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最終更新:6月7日(火)14時36分

産経新聞

 

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