コートジボワール:バグボ前大統領を拘束…混乱収束へ

2011年4月11日 23時31分 更新:4月12日 0時50分

 【パリ福原直樹、ヨハネスブルク高尾具成】大統領選の結果を巡って武力衝突が続く西アフリカ・コートジボワールで11日、退陣を拒否して居座り続けていたバグボ前大統領の潜伏場所にワタラ元首相派の戦闘部隊とフランス軍特殊部隊が戦車などで突入。地下に潜伏していたバグボ氏と妻らを拘束した。バグボ氏は拘束後、ワタラ氏が選挙後に執務室として使っていた最大都市アビジャン市内のホテルに連行された。

 仏国防省関係者によると、拘束作戦はワタラ氏派が主導。バグボ氏連行直後、ホテル周辺で同氏派部隊とワタラ氏派部隊との間で戦闘が起きた。

 バグボ氏は現在、けがもなく健康状態も良好で、ワタラ氏側はバグボ氏を訴追する方針。市民ら1000人以上が戦闘で犠牲となった同国の混乱は、バグボ氏拘束で収束に向かうとみられる。

 仏軍は10日以降、国連平和維持活動(PKO)部隊と協力し、アビジャン市のバグボ氏派の拠点を空爆するなど集中攻撃に乗り出した。国連報道官は「市民や国連(部隊員)に対して使用された重火器を無力化する」と強調。仏軍も「前大統領派が一般民衆への攻撃を続けている」と批判していた。

 仏国防省などによると、仏軍は11日朝から前大統領官邸付近の攻撃を開始。午後には仏軍特殊部隊がワタラ氏派部隊を支援する形で突入作戦に着手した。

 AFP通信によると、バグボ氏の拘束後、フランスのサルコジ大統領はワタラ氏と電話協議。国情の正常化について話し合ったとみられる。

 混乱が収束すれば、国際市場から懸念されていた世界第1位の生産高を持つカカオ豆産業の再興や輸出正常化などに期待がかかる。しかし、国の再建には課題が多い。

 昨年11月の大統領選決選投票で54%の得票をしたワタラ氏に対し、バグボ氏も約45%の支持を集めており、バグボ氏や支持勢力の処遇次第で混乱が再燃する恐れがある。ワタラ氏が旧宗主国フランスの介入を求めたことに対する国内の不満も残りそうだ。

 ワタラ氏は国際社会の支持を得て新大統領に就任する見通しだが、戦闘中に双方の部隊による虐殺の責任問題が浮上している。赤十字国際委員会によると西部ドゥエクエで3月末、800人以上の虐殺事案が確認された。国連人権高等弁務官事務所も双方の戦闘で200人以上の遺体が見つかったと発表した。

 国際社会は選挙後の混乱でワタラ氏派を軍事的に支援しており、同氏派の虐殺関与が事実だとすれば、難しい対応を迫られそうだ。

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