福島第1原発:20キロ圏外に「計画的避難区域」指定

2011年4月11日 19時38分 更新:4月12日 19時8分

累積放射線量の推定値の分布図
累積放射線量の推定値の分布図

 政府は11日、福島第1原発から半径20キロ圏外で放射線の累積線量が年間20ミリシーベルトに達する恐れのある福島県内の5市町村について全域もしくは一部を「計画的避難区域」に指定すると発表した。1カ月以内に住民の避難を行うよう要請する。また、政府が屋内退避指示を出している20~30キロ圏内のうち、計画的避難区域に指定されなかった地域は「緊急時避難準備区域」に切り替え、自力での避難が難しい子供や妊産婦、入院患者らに避難を求める。

 ◇5市町村、1カ月内に避難要請

 枝野幸男官房長官が会見で発表した。原子力災害対策特別措置法に基づく措置。計画的避難区域は浪江町、葛尾村、飯舘村の3町村の全域と、南相馬市と川俣町の2市町の一部。原発の北西20~40キロにあたり、放射性物質が大量に原発から放出された際に風下に位置していた。緊急時避難準備区域は、広野町、楢葉町、川内村の3町村全域と、田村市と南相馬市の2市の一部。一部が指定される市町村内での詳細な区域割りは今後発表する。区域指定による避難は政府の支援、補償の対象となる。原発から半径20キロ圏内に出している避難指示は継続する。

 会見で枝野氏は計画的避難区域について「今すぐ緊急の避難行動をお願いするものではなく、長期にわたり周辺地域にいる健康上のリスクを考えた。『一切立ち入らないことが望ましい』と指示している20キロ圏内とは意味が違う」と説明した。政府によると、20キロ圏外の年間累積線量の推定値で最大値は313.9ミリシーベルト。年間20ミリシーベルトは国際放射線防護委員会(ICRP)と国際原子力機関(IAEA)の緊急時の基準値(年間20~100ミリシーベルト)の下限値にあたる。

 緊急時避難準備区域では幼稚園・保育所や小中高校は休校にするが、緊急時に自力で避難できる人は区域内にとどまることができる。枝野氏は「緊急事態が生じたら屋内退避、自力での避難が求められる」とした。また、同区域内での工場操業や畜産業などの経済活動について「自治体との相談を始めている」と、継続の余地を残す考えを示した。

 また、枝野氏は新たに設置した区域に関し、「放射性物質の放出が管理下における状況になったと判断される時点で見直す」としたが、時期の明言は避けた。【影山哲也】

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