04年にさいたま市の量販店「ドン・キホーテ浦和花月店」で従業員3人が死亡した放火事件の遺族対応を名目に会社から約1800万円をだまし取ったとして、警視庁捜査2課は6日、「ドン・キホーテ」(本社・東京都目黒区)元常務、稲村角雄容疑者(50)=葛飾区四つ木4=を詐欺容疑で逮捕した。稲村容疑者は放火事件の対応を任されていた。捜査2課は、被害総額は07年7月から10年12月にかけて8000万円に上るとみている。
逮捕容疑は09年1月下旬~10年5月上旬、「遺族対応に関する相談料をコンサルタント会社に支払う必要がある」などとうそをつき、計1800万円を詐取したとしている。「飲食代や高級ホテルの宿泊代に使った」などと容疑を認めているという。
捜査2課によると、稲村容疑者は偽造した領収書などを基にコンサル料などを請求。1回当たりの請求額を自らで決裁できる300万円以下に抑え、社内チェックを免れていたという。他にも「遺族への見舞金」などの名目で請求していたが、捜査2課はいずれもうそだったとみている。
稲村容疑者は社内調査に着服を認め、10年12月に辞任。ドン・キホーテは今年3月、詐欺容疑で警視庁に告訴していた。
ドン・キホーテは「関係者にご迷惑をかけたことをおわびする。再発防止に努めたい」とコメントしている。【川崎桂吾】
毎日新聞 2011年6月7日 東京朝刊