ニッポン放送株をめぐるインサイダー取引事件で、証券取引法(現金融商品取引法)違反罪に問われた元村上ファンド代表村上世彰被告(51)と、投資顧問会社「MACアセットマネジメント」(廃業)について、最高裁第1小法廷(桜井龍子裁判長)は6日付で、被告側の上告を棄却する決定をした。村上被告に懲役2年、執行猶予3年、罰金300万円、追徴金約11億4900万円を、MAC社に罰金2億円をそれぞれ言い渡した二審判決が確定する。
村上被告は、2004年11月にライブドアの堀江貴文元社長(38)=別の同法違反事件で実刑確定=らからニッポン放送株を買い集める方針を聞き、公表前の05年1月までに約193万株を買い付けたとして起訴された。
弁護側は公判で、ライブドアの大量取得決定には実現可能性がなく、インサイダー情報には当たらないと無罪を訴えた。二審東京高裁は、決定がインサイダー情報に当たる場合について、「実現可能性に相応の根拠が必要」と厳格な基準を設けた上で、ライブドアの決定は投資家に影響を与える程度に達していたとして、無罪主張を退けていた。
この点について第1小法廷は「インサイダー取引が成立するには、会社業務としての取得決定がなされればよく、実現可能性が具体的に認められることは必要ではない」として、より緩やかな基準を示した。二審の結論は維持した。