●大久保被告関係―前号の間違い 私は前号のこの欄の「●鷲見一雄の視点」にこう書いた。
大久保被告は天下の小沢氏の公設第一秘書で「陸山会」の会系責任者、いくら無罪を主張いる方便とはいえ、「政治資金収支報告書の作成は一切やったことがない」と言う。「やったことがない」とは「検証し、承認したこともない」と言うことなのか。こんな供述を裁判官が信用するはずはない。
次に、中堅ゼネコン「水谷建設」(三重県桑名市)からの裏金提供疑惑について、「何かの陰謀。政治的な謀略だと思う」と改めて否定した、とされる。誰の陰謀なのか、こんな根拠のない憶測信用される訳がない。石川被告は「2004年10月15日に東京都港区内のホテルのロビーで石川議員に5千万円を渡した」との水谷建設元社長の証言について、「元社長とホテルで会ったことはない」と強く否定するのならアリバイを出したのか、ないとすれば信用性はない。
●間違いの訂正と補充 アンダーライン部分、
会系責任者、いくら無罪を主張いる方便とはいえ、は会計責任者、いくら無罪を主張する方便とはいえ、と訂正する。さらに、
「元社長とホテルで会ったことはない」と強く否定するのならアリバイを出したのか は間違いなので削除、次のように訂正する。1日付のasahi.comによれば「大久保元秘書は、この時期に川村元社長、建設会社長の2人とこのホテルで会ったこと自体は認めた。また、川村元社長らから2、3回の接待を受けたことも明かした。」と。
そして、その後の文章を舌足らずなので次のように訂正・補充する。
「大久保被告」は天下の小沢氏の公設第一秘書で「陸山会」の会計責任者。いくら無罪を主張する方便とはいえ、「政治資金収支報告書の作成は一切やったことがない」と言う。「やったことがない」とは「検証し、承認したこともない」と言うことなのか。小沢氏の公設第一秘書で陸山会の会計責任者であった人物がそんな供述をしても裁判官が信用するはずはない。だれが考えても不自然であり不合理であるからだ。
次に、大久保氏は中堅ゼネコン「水谷建設」(三重県桑名市)からの裏金提供疑惑について、「何かの陰謀。政治的な謀略だと思う」と改めて否定した、とされる。誰の陰謀なのかも明らかにしない。こんな根拠のない憶測を裁判官が信用する訳はない。
1日付のasahi.comによれば「大久保元秘書は、この時期に川村元社長、建設会社長の2人とこのホテルで会ったこと自体は認めた。また、川村元社長らから2、3回の接待を受けたことも明かした。」という。ここは検察側の大きなポイントである。水谷建設との親密な関係を自分の口で認めていたからだ。検察側が論告で最も強調すべき大久保被告の虚偽供述といえよう。
大久保元秘書はそういう状況がありながら5000万円の収受については「何かの陰謀。政治的な謀略だと思う」《「川村元社長が会社の金をかすめ取るための狂言だと思う」と話した。》 とされる。しかし、その根拠は示していない。明らかに不合理な説明である。大久保元秘書の被告人質問に関し裁判官が判断すべき最も重要なポイントと私は見る。
「キーポイント」は《大久保元秘書が何のために「この時期に川村元社長、建設会社長の2人とこのホテルで会ったか」である。相手は名うての業者、頼む側の人たち。川村元社長側の頼み事なら大久保元秘書を訪問するのが業者と大物秘書の常識。大久保元秘書が出向くというのは大きな意味がある。
大久保元秘書がわざわざホテルに出向いて2人に会ったということは「面会そのものが大久保元秘書の頼みを川村元社長が適えた時」以外に考えられない。大久保元秘書が川村元社長に頼んだことといえば、川村証言は《2004年9月に元秘書の大久保隆規被告(49)=同罪で起訴=と議員会館の事務所で2人きりになった際、小沢氏の地元の「胆沢(いさわ)ダム」(岩手県奥州市)工事を下請け受注するための条件として、「本体工事の(元請け)ゼネコンが決まった後に5千万円、岩石採取工事のゼネコンが決まった後に5千万円を納めて頂きたい」と要求された》こと以外にない。
川村証言、「日本発破技研」の山本潤社長の証言の信用性は面会の流れからみて極めて高いと判断しなければ裁判官の判断が間違っていることになると私は捉える。大久保元秘書は5000万渡したという川村証言を打ち消す反論はできなかったということだ。
●石川議員関係の補充 私は前号で石川議員に関し、次のように記述した。
石川議員は《「司法書士に相談したら、本登記の日を支出日にできると言われたので、登記を翌年に延期した」と説明した。》というが、司法書士は登記の専門家であって政治資金規正法の専門家ではない。政治資金規正法は入金、出金した日時を正確に記載するのが決まりである。登記とは関係ない。私の経験では「司法書士に相談した、弁護士の意見に従ったなどという言い訳は100%虚偽、信用性がないと断言できる。
●読売新聞掲載記事 ところが、2日付読売新聞朝刊には「同様する石川被告」という小見出しで次のような記事が掲載されていた。
検察、弁護側質問を終えた石川被告に、右陪席の市川太志裁判官(49)が1通の書面を示した。
石川被告には、陸山会が04年10月に購入した土地の登記を05年1月にずらして購入時期を偽り、代金3億5200万円の支出を04年分ではなく05年分の政治資金収支報告書に記載したなどとして起訴された。書面は、この土地取引の際に作られた契約書だった。
市川裁判官が注目したのは、所有権移転に関する条項。「代金がすべて支払われた時点で所有権が買い主側に移転する」と明記されている。市川裁判官は「実際は代金を払って所有権を得ていたのに、遅らせた登記日を代金の支払い日として収支報告書に記載できると考えたのはなぜか」と、契約書の文言と矛盾する理由を尋ねた。
「司法書士に相談し、『登記の日を支払日にできる』といわれたから」と、両耳を真っ赤にして繰り返す石川被告。登石郁郎裁判長(57)が「収支報告書を作成するための相談だと司法書士に伝えていたのですか」と割って入ると、「収支報告書のことまで話したかはわかりませんが、登記日を支出日としてもおかしくないという印象を受けました……」と言葉を濁した。(以上、読売新聞)
繰り返すが、司法書士は登記手続きの専門家であっても、政治資金収支報告書の専門家ではない。だいいち、代金を支払った土地の所有権と土地代金の「入り」と「出」の収支報告書に記載すべき義務とは関連性がない。「4億円の入り」と「3億5200万円の出」を収支報告書に記載していなかったのだから、石川被告らに政治資金規正法違反が成立することは明白といえる。
大久保、石川氏、2人の被告人質問を報道で見る限り、1億円の裏献金は真っ黒、登記と収支報告書の不記載も明白、小沢氏は3人の元秘書の証言を柱に無罪主張をするのだとすれば「お先真っ暗」としか私には思えない。3人の元秘書は「足掻きすぎだ」という印象を強く抱く。小沢氏は政治に勝っても、裁判は前途多難と私は見立てる。