これこそが、現在の「政府」「東電」「テレビ・新聞」の本質である。福島第一原発における最悪の事故を、一貫して過小評価して印象操作をしてきた人々は、都合の悪いモノは決して、国民に見せようとしない。
実際には23日の委員会では4人の論客によって、原発事故に対する政府や東電の対応、これまでの原子力政策に対して厳しい批判が繰り返された。
「今回の事故では人為的ミスが重なっている。シビアアクシデント(過酷な事故)が起きる可能性を『小さい』と言って無視してきた、原子力安全・保安院の責任は大きい。もし次に原発事故が起きれば日本は壊滅する。安全が確信できない限り、原発は段階的に止めていくしかない」(後藤氏)
「日本は、ヨーロッパであれば絶対に原発を作らないような場所(地震多発地帯)に原発を作っている。日本の原発は、すべて〝地震付き〟の原発であることを忘れてはならない」(石橋氏)
「政府の放射線量の公表数値は、γ線の数値だけになっている。私は、α線とβ線も計れるガイガーカウンターを持っているが、それで東京都内を計ると、公表数値の2倍くらいの数値になる。政府はウソをついていないが、本当のことも言っていない」(孫氏)
どの参考人の意見も、〝原発漬け〟の日本の状況に対し、大いに疑問を持たせる内容だ。そして、福島の事故の深刻さを十二分に窺わせるものだった。
しかし繰り返すように、この貴重な委員会での証言は、この国の中枢にいる人々にほとんど無視された。国民には、余計な情報は見せない、聞かせない---。
それが事故発生以来、一貫している政府・東電、及び一部の御用学者・御用マスコミの姿勢である。
東京電力は事故発生から2ヵ月以上も過ぎた5月15日、福島第一原発の1号機がメルトダウンしていたと公式に認めた。すると、続いて24日には「2号機、3号機もメルトダウンしている」と公表。さらに25日になると、「1、2号機では原子炉格納容器に7~10cmの穴が空いている」と、驚愕すべき情報をさらりと〝後出し〟した。
参院行政監視委員会に参加した前出・後藤氏は、東電に対する怒りを露にする。
「原子炉がメルトダウンしているか、それに近い状態だというのは、最初から明らかだったんです。いまさら何を言っているのか。東電はどういう判断をしていたのか。当初言っていたように『燃料棒の一部損傷』だと本当に信じていたのか。それともメルトダウンの可能性を発表せず、事故をできるだけ軽く見せたいとでも思っていたのか」
後藤氏によれば、3月12日前後の段階で原子炉のメルトダウンが始まっていたとしたら、溶融物に水をかけることで大規模な水蒸気爆発が起こり、まさに〝壊滅的〟な被害が出る可能性があったという。
「そんな危機的な時に、東電は『これはチェルノブイリとは違います』などと言っていました。とんでもない話で、実は極めてギリギリな状態だったんです。重大な情報を伏せた上で壊滅的な爆発が起き、急性被曝で多くの人が避難できずに死んでいたら、まさしく犯罪です。殺人行為です。東電はそれほど恐ろしい危機的な状況下で、情報を隠していたのです」(後藤氏)
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