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公立病院で死亡した患者の遺族が賠償請求

2011年06月07日

 豊後大野市緒方町馬場の公立おがた総合病院(現市民病院)で2008年に93歳で死亡した女性の遺族が「常勤内科医を不在にしたのは病院管理者として管理責任の怠慢にあたる」として運営する市を相手取り、約1300万円の損害賠償を求める訴えを大分地裁に起こした。第1回口頭弁論が6日、同地裁であり、市は遺族側の請求を棄却するよう求め、争う構えを示した。

 訴状などによると、女性は1980年代から継続的に同病院で診療を受けていた。07年12月に食欲不振で入院し、胸部CT画像で異常が見つかった。

 だが当時、同病院には常勤内科医がおらず、女性を担当した外科医は、90歳代という高齢を理由に積極的な診療をしないことを家族に伝えた。女性は大分赤十字病院(大分市)や大分大医学部付属病院(由布市)に転院して胃がんなどと診断されたが、手術不可能とされて再び総合病院に入院。08年2月に死亡した。

 原告側は、女性が04年にも同病院に食欲不振で入院したことを挙げ、「04年のような診療体制であれば、がんの早期発見で延命できていた可能性が高い。具体的な診療行為をせず、最良・最善の治療行為を怠った」と訴えている。

 総合病院では06年12月から4人いた常勤内科医が次々と退職し、07年9月からゼロに。非常勤医師や別の診療科の医師が交代で内科診療を続け、08年4月にようやく常勤内科医3人が来た。

 市は請求の棄却を求めたが「次回の公判まで内容を検討したい」とした。(軽部理人)

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