7日の東京株式市場では、日経平均株価は小動き。終値は前日比62円高の9442円だったが、全般に方向感を欠いた展開だった。一時は前日比22円安の9358円まで下げ、取引時間中としては3月29日(9317円)以来の安値を付ける場面もあった。最近の株価下落で東証1部上場全銘柄のPBR(株価純資産倍率)は1倍ちょうど(前日6日の終値で算出)、日経平均でも1.04倍と理論上の解散価値に相当する1倍割れすれすれまで低下している。株価指標でみた下値のメドはどれくらいか、市場関係者に聞いた。
中央三井アセット信託銀行シニアファンドマネージャー 吉田大路氏
日経平均株価は目先1カ月の間に9100円前後で下げ止まるとみている。下値では日銀による上場投資信託(ETF)購入への期待が強く、一方的に売り込む状況にはなりにくい。米景気先行きや国内の政治動向など不安材料も多いが、おおむね底堅い展開が続く。
「東証1部のPBRが低下し、割安感から日本株には買いが入りやすい」との見方には懐疑的だ。PBRが低下している一部の輸出関連株などは海外景気への不安や円相場の高止まりといった弱材料があり、それを嫌気して売られている。PBRでみて安くなったからといって、買える状況ではない。
かつてのディフェンシブ銘柄の代表だった電力株が買いにくいため、相対的に業績の良い内需株に資金が流れている。ただ内需企業の収益基盤である国内市場は成長が見込めず、株価の上値余地は限られるだろう。