2011年6月7日15時0分
被災地の漁協に巨額の資金提供の申し出が相次いでいる。「終戦時に埋蔵された100億円を無償で」「皇族の意向で」などの誘い文句で売り込んでくる事例も。今のところ実害はないが、詐欺まがいの疑いもあるとして、漁協や県警は注意を呼びかけている。
岩手県漁業協同組合連合会の大井誠治会長が4月末、津波で浸水した同県宮古市の自宅を片づけていると、粘着テープで修理した車で見知らぬ男がやってきた。「終戦時に埋蔵された100億円を提供する」「皇族の意向で税金はかからない。資金の半分は会長さんの自由に」と続ける。大井会長は断った。
「漁業者を救いたい」「神戸の資産家が寄付」――。大井会長には100億円単位の資金提供話が4回あった。1件は県議、2件は知人の仲介。「保証金や謝礼などの名目で、金をだまし取ろうとしたのだろう」と大井会長は憤る。