コラム:アップルのクラウドサービスは音楽業界の福音に

2011年 06月 7日 16:28 JST
 
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  By Robert Cyran

 [ニューヨーク 6日 ロイター BREAKINGVIEWS] 米アップル(AAPL.O: 株価, 企業情報, レポート)が音楽業界に対して新たな救いの手を差し伸べた。同社が発表した新たなクラウド音楽サービスの「iTunes Match(アイチューンズ・マッチ)」では、利用者は年間25ドルで、どんな機器からでも楽曲を聴くことができる。

 重要なのは、違法な手段で楽曲を自分のハードディスクドライブにダウンロードした顧客にも、サービス利用を許す仕組みである点だ。これは、海賊版への妥協に見えるが、少なくともより多くの収入を得る道を提供している。

 アマゾン(AMZN.O: 株価, 企業情報, レポート)などの他の音楽サービスでも、顧客が楽曲をクラウド上に保存できるが、アップルのサービスは賢い組み合わせだ。顧客が保存している楽曲のデジタル署名を「アイチューンズ・ストア」で販売している1800万曲と照合する。適合すれば、利用者はどんな機器でも聴く権利を得られる。ファイルのアップロードを要求するサービスに比べて短時間で簡単に楽曲にアクセスができる。ただ、ライブラリの楽曲の入手経路が合法か違法かは区別しない。

 関係筋によると、アップルは「アイチューンズ・マッチ」から生じる収入の70%超を音楽業界に引き渡すとみられ、レコード会社や歌手はこの収入を活用できる。

 デジタルダウンロードはまだ、CDの売り上げの急激な落ち込みを埋め合わせるまでには至っていない。音楽業界団体によると、世界的なCD売上高は過去10年で40%も落ち込み、約160億ドルとなっている。

 それでもアップルがもし、大手レコード各社と契約に調印さえできれば、注目に値する。レコード業界はずっと海賊版と闘ってきており、ナップスターからオタク系ティーンに対してまで、高額の訴訟を起こしている。もちろんこれからもそうした法的手段を追求するだろうが、海賊版を合法化する道を提供することもまた、収入を得る実際的な手段のように思える。

 アップルの歴史が音楽業界に寄与しているのは間違いない。音楽業界にとって、デジタル収入は数少ない成長源の1つになっている。そしてスティーブ・ジョブズ氏に率いられたアップルは重要な役割を担ってきた。「アイチューンズ・ストア」は2003年のサービス開始以降で150億曲を販売した。また小売調査会社NPDによると、米国の合法音楽ダウンロード市場におけるアップルのシェアは約70%となっている。   続く...

 

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 6月6日、米アップルが音楽業界に対して新たな救いの手を差し伸べた。写真は基調講演するジョブズCEO(2011年 ロイター/Beck Diefenbach)

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