原子力安全委員会の久木田豊委員長代理は、2011年6月6日に行われた臨時会議で、原子力安全・保安院による東京電力福島第1原発の事故に係る1号機、2号機、3号機の炉心の状態に関する評価報告を受け、「いずれ(の炉心)も圧力容器の底部が損傷した可能性があるという結論になっている」とし、1号機、2号機、3号機の『メルトスルー』を指摘した。
また、同委員長代理は、現在では「メルトスルーが大々的に起こる可能性は非常に小さくなっている」と述べるとともに、炉心が大規模に溶けて変形している現状を理由に掲げ、「再臨界は起こり難い状況である」と語った。
久木田豊委員長代理とニコニコ動画の記者(七尾功)との一問一答は以下のとおり。
七尾記者: 先ほど委員会のなかで「メルトスルー」というお言葉が(久木田委員長代理から)ございましたが(原子力安全・保安院の)報告の中でいうとメルトスルーは何号機で起きていると考えればよろしいのでしょうか。
久木田委員長代理: この資料のなかでは「炉心の溶融・移行」というような言葉がありますけれど、この「移行」というのはいろんな意味がありますが、圧力容器のなかで炉心のなかで燃料の一部分が溶けて下に落ちるという意味と、それから圧力容器の下の方が破損して格納容器に移動する、そういった両方の意味で使れる言葉ですね。この資料のなかでは、1号機から3号機いずれも圧力容器の底部が損傷した可能性がある、そのような結論になっています。
七尾記者: そうしますと(1~3号機で)メルトスルーが起きているということで、次に懸念されるリスクというものにはどんなものがございますでしょうか。
久木田委員長代理: メルトスルーが起こると怖いのは、事故のプロセスのなかで圧力容器の中が高圧の状態でメルトスルーというのが、一番、事象の発展という点からは怖いわけです。現状においてはメルトスルーの結果として、圧力容器と格納容器の圧力がだいたい均衡していない状態になっているということですので、過去においてメルトスルーが起こったかもしれないというふうに考えられているわけですけれども、現状としてメルトスルーというのが大々的に起こるというそういう可能性というのは非常に小さくなっている。
七尾記者: よくいわれております再臨界についてのリスクはないと考えてよろしいのでしょうか。
久木田委員長代理: 再臨界ということについては、むしろ炉心が壊れるプロセスの中で燃料自体はある程度形を保っているけれども制御棒の方が先に溶けてしまう、そしてそうした状態で水に入ってくるということが再臨界の可能性を生じるシナリオとして考えられていたわけです。それに対して現状では炉心が大規模に溶けて変形してしまっていますので、むしろ再臨界というのは起こり難い状況である、そういう理解です。
(七尾功)
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