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2011-06-07 Appleに殺されてしまうひと達まとめ

Appleに殺されてしまうひと達まとめ、あるいはプラットフォーム依存するということ

WWDC 2011も終わりました

iOS4までで基礎は完成させたということでしょうか、これまで30%税で儲けさせてくれたはずのサードパーティすら殺してしまいそうなサービスを次々と発表するジョブズの姿を見ると、ああプラットフォーマーの強権というものは恐ろしいのだなぁと実感し、嬉々としてObjective-Cを学んでいた昨日までの自分に恐怖するわけであります

そこで今回は、アップデートで死んでしまう、あるいは死なないまでも大ダメージを受けるであろうひとたちを振り返り、明日への戒めとしたいと思います。

なお、WWDC画像はEngadgetから引っ張ってきています。感謝いたします。


iOS組み込みTwitterサポート

Twitterを使用するにはiOSの設定画面でアカウントを登録しなければならず、すべてのアプリケーションHTTPでTwitterAPIを叩く代わりにiOSAPIを通して動作することになります雨後の筍のように増殖するTwitterアプリ管理が簡単になるというメリットはありますが、TwitterをサポートするOS標準のアプリと競わなければならないということでもあります

もっとも影響を受けるのは、Twitpicyfrogといったマイクロブログ画像アップローダーでしょう。なにせ、これからカメラロールから直接「Twitterへ送る」ことが出来るのですから、わざわざ別アプリを開いてTwitpicに送信してくれる人がどれだけいるかは疑問です

Twitter社は(自らも手を下したはいえ)さすがに心が痛むのか、こうしたアップローダサービスには、別の方向性を模索するように数カ月前からアドバイスしていたそうです


safari

いちいちタブ一覧を開かないと他のタブを選べない仕様とか、プラグイン対応していないとか、「使えない標準アプリ」という批判に甘んじてきたsafariですが、今回のアップデートでそういった汚名を返上できるようです

標準的なタブUIが整備され、タブ間の切り替えは高速、開いているタブを複数のiOSデバイスで同期でき、Safari Readerで長い文章を読みやすく整形、おまけに読んでいるページの内容をメールで送信可能。有料のタブブラウザアプリ比較して遜色ない性能になりました

となると、割を食うのはそういったブラウザを開発してきた人たち。もともと描画エンジンsafariと同じwebkitを必ず使用しなければいけないわけで、ページの読み込み速度や描画の綺麗さでは差が付けにくいという宿命を抱えています。したがって、タブ切り替えの快適さや読み込みの速さで選ばれてきたOperaやAtomic Brawser、iCabMobileといったブラウザアプリは下火になってゆくことでしょう。

また、Safari Readerが追加されたことで、InstaPaperやRead it Laterオフラインダウンロードの強化など、より一層の営業努力が求められることになります


Reminder

おそらくAppStoreに激震が走るのがこの分野。「Todo」でアプリ検索すると100件以上出てくる激戦区に、大人気なくAppleが殴り込みをかけます。これが自由競争というやつでしょうか。

アプリの機能としては、タスクフォルダ分けやフォルダの入れ子が可能で、GPSと連動して「スーパーの近くを通りがかると、牛乳を買い忘れてませんかと催促してくれる機能」まで付いている豪華仕様Remember the milkをはじめとした単純なTodoアプリが息をしていないのはもちろん、OmnifocusThingsといった高額GTDアプリまで蹴落としてしまいそうなのが、さすがは標準アプリといったところでしょうか。


Camera

「使えない標準アプリその2」の座を長らく守り続けてきたカメラアプリも、iOS5では一気に優等生に生まれ変わりました

ロックスクリーンから直接起動できるようになり、起動時間は短縮され、横持ち状態ではボリュームキーシャッターが切れるようになり、タッチフォーカス露出ロックの簡単操作ピンチ操作ズームできてグリッドも表示可能で、撮影後の傾き補正・赤目補正・クロップまでボタン1つでできるようになります

高速起動をウリにしたカメラアプリは全滅するでしょう。どんなに起動が早かろうが、ロック画面から直接呼び出したほうが早いに決まっています。

Photoshop Mobileに代表される写真補正アプリもうかうかしてはいられません。いまのところ標準でサポートされるのは傾き・赤目・切り取りだけですが、露出彩度の調節やトイカメラフィルタがいつ実装されるかわかったものではありませんから


Game Center

ソーシャル機能が追加され、実績ポイントシステムやフレンド検索ゲームダウンロードまでが可能になりました

iOS向けソーシャルゲーミングプラットフォームであるOpenfeintさんが息をしてないように見えるのは気のせいではないはずです。大枚をはたいて買収したグリーさんに「ねぇねぇどんな気持ち? いまどんな気持ち?」と聞いてみたいものであります

最近ではセガさんがiOS向けにOpenfeintを利用すると発表していましたが、このまま突き進むのかGame Centerに乗り換えるのか、注目していきたいと思います。私はGame Centerに乗り換える方に5000ペリカ賭けておきますが。


iMessage

iOSユーザ同士のインスタントメッセージング。iOSiChatだと考えればだいたい合っています。送った・届いたメッセージアカウントごとに管理され、すべてのデバイス自動で同期されるというなかなか便利な仕様。グループメッセージングもOKです

これによってダメージを受けるのはSMSアプリメールは送受信無料が当たり前の日本ではあまり馴染みがありませんが、海外では携帯回線を使ったメールSMS)は高額なのが当たり前。そういった理由からBelugaなどのグループテキストアプリが愛用されていたわけですが、OS標準の機能で搭載されてしまっては、もはや立つ瀬がありません。サードパーティのみなさまには、ぜひAndroidやWindowsPhoneとのインターオペラビリティ強化の方向で頑張っていただきたいものです


iCloud

あまりの出来の悪さにジョブズが激怒したと噂されるMobile Meが新サービスとして再スタートしました。年額1万円をお布施しなくてはいけなかった割にはご利益の薄かったMobile Meとは違い、無料で「連絡先、カメラロール、カレンダー、購入済みの音楽アプリ書籍ドキュメントデバイス設定」を同期できるという大盤振る舞い。カメラロールの写真永遠に保存されるわけではないとかいろいろ制限はついていますが、それでも無料提供されるインパクトは無視できません。

連絡先を書き出すアプリが売れなくなるであろうことをはじめ、カレンダーの同期にGoogle Calendarを通さなくてよくなったり、DropboxSugarsyncファイル管理する必要がなくなったり、Pogoplugゴミになったりと、多方面に計り知れない爪痕を残してゆくものと思われます

おそらくはじめに、通信量の増大によるソフトバンク回線パンクという形で影響が現れることでしょう。


iTunes Match

One more thingで「iTunesのちょっとした機能」として紹介されたiTunes Matchですが、かつてAppleが買収したLala技術が使われているものと推察できます

Google Musicがお披露目されたいまとなってはロッカー型音楽サービスはさほど目新しいものではありませんが、Appleしかない強みとしては、すでにiTunes Storeで扱う楽曲が1800万曲を超えていることが挙げられますAppleサーバ側にある楽曲が多ければ多いほどユーザアップロードしなくてはいけない楽曲が減りますし、場合によってはレコード会社AACファイル用に特別なマスタリングを施したバージョンを配信していることもあります

ロッカー型音楽サービスとして直接のライバルとなるAmazon Cloud PlayerGoogle Musicについては、Appleが参入したからといってすぐに勝敗が決するわけではありませんが、全世界で2億台以上とされるiOSデバイスに手が出せないのはおもしろくないはずです

それにしても、これからAmazonLady Gagaの安売りmp3ダウンロードして、iTunes Cloudで高音質を聞くのが主流になるのでしょうか。



最後

iOS5が頒布される予定の秋までに、ひとりでも多くの開発者たちが新しい世界適応できることを願っております。さもなくば、iOS5は累々と積み上がった開発者たちの死体と涙の上に花咲くことでしょう。

なお、言うまでもありませんが、以上の情報WWDCの発表をもとにした推察であり、事実とは異なる部分があるかもしれません。

一部に煽っているような表現があるかもしれませんが、あくまで文芸上の表現であり、yifeは世界平和サードパーティの繁栄を願っています。

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