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サミットでも「ペテン師」ぶりをみせた菅首相

産経新聞 6月5日(日)21時8分配信

【酒井充の政界××話】

 退陣表明から一転して続投に意欲を示した菅直人首相の「ペテン師」ぶりは今に始まったことではない。振り返れば、わずか1週間ほど前の主要国(G8)首脳会議(仏ドービル・サミット)出席をはじめとする欧州訪問(5月24〜29日)もそうだった。

 首相はサミットに先立ち、5月25日(日本時間26日)にパリで開かれた経済開発協力機構(OECD)の設立50年記念行事に出席した。首相はそこで演説し、突然「太陽光パネル1千万戸設置」構想を表明した。総発電量に占める割合が10%未満の太陽光や風力、水力といった自然エネルギーを「2020年代のできるだけ早い時期」に少なくとも20%に引き上げるためだという。

 「1千万戸設置」は当初、発言予定になかった。同行した官僚も「驚いた」という。首相が独自の人脈の中で練った構想で、出発前に担当閣僚に相談することもなかった。海江田万里経済産業相も松本剛明外相も率直に「事前に聞いていなかった」と答えている。

 首相を支えるべき閣僚は普通、本当に知らなかったとしても「首相の考えを実行に移したい」とでも言ってお茶を濁すものだ。あからさまに不快感を表明したわけで、首相の求心力の低下ぶりがうかがえる。

 首相が国際会議の場で発言したことは、その後に首相が退陣しても日本の国際公約として生きることになる。だから「個人の思い」を適当に言うわけにいかない。検討に検討を重ねた上での目標設定でなければならないはずだが、どうも違ったらしい。

 資源エネルギー庁の担当者は5月31日の自民党外交部会で首相の構想について「非常に野心的な目標で、達成がかなり難しいことは事実だ」と明言した。首相が海外で自信満々に披露した構想を、担当官僚が言下に否定する。これで国家の体をなしているのだろうか。

 首相は外遊中、とてもはりきっていた。東京電力福島第1原子力発電所事故に各国の注目が集まっていたからだろう。目立ちたがり屋で政治パフォーマンスが好きな首相には、もってこいの場だった。

 ところが、各国首脳は東日本大震災へのお見舞いや協力、そして原発事故を受けた原子力安全水準の議論はともかく、首相が力を込めた自然エネルギー推進にはほとんど関心を示さなかった。震災や原発事故で国難に陥っている日本の首相を、国際会議の場であからさまに糾弾する首脳は普通いない。だが、世界の関心は「いつ原発を収束できるのか」にあったのは間違いない。その説明もそこそこに「未来の理想」を力強く語る首相は完全に場違いだった。

 原発大国・フランスのサルコジ大統領は5月25日の日仏首脳会談で震災復興に取り組む日本の姿は称賛したが、自然エネルギーに重点を移そうという首相の提案に全く返答しなかった。反応したのは「脱原発」へ転換したドイツのメルケル首相が菅首相との会談で、日独間の自然エネルギーに関する協議を持ちかけてきたぐらいだった。

 それなのに菅首相は満足そうだった。サミット閉幕を受けた5月27日の内外記者会見で、自然エネルギー重視の考えを世界に伝えたことを「成果」と強調した。約20分間しか時間の枠がなかった記者会見で、自らの成果を誇る冒頭の発言に延々と13分も費やし、時間切れで記者からの質問は2問(通例の内外記者会見は4問)だけだった。記者会見を「自分の言いたいことを言う場」と勘違いしているとしか思えない。

 しかも政策決定の途中過程は説明せず、一方的に結論だけを示す。自民党政権を密室政治と批判してきた割には、首相の密室性は極めて高い。昨年7月の参院選前の唐突な「消費税10%」表明も、中部電力浜岡原発の停止要請も、そして太陽光パネル1千万戸設置構想もそうだ。まるで「おれがこうすると決めたんだから黙って言うことを聞け」と言っているのと同じだ。首相への厚い信頼があった場合には成立しうるが、内閣支持率30%前後の政権が言うことではない。

 こういう発言をする人は前にもいた。鳩山由紀夫前首相だ。鳩山氏は退陣を表明した昨年6月2日の民主党両院議員総会で「国民が聞く耳を持たなくなった」と言った。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で「少なくとも県外移設」と適当に言いながら実現できなかった力不足は横に置き、「おれはこんなにがんばっているのに分かってくれない」というわけだ。得てして政権末期の政権にありがちな陥穽なのだろう。

 こうした事態に陥ることは首相自身も予言していた。1月8日にインターネット番組に生出演した際、こう発言している。

 「比較的短くして首相を辞めた人がいますが、その原因が何となくわかるんですね。おれはこんなにがんばってるのに何で評価されないんだ。いろんな思いが伝わらないことで、どっかでもうこれ以上はやっても駄目だと気持ちがなえるんです」

 だが、首相はまだまだなえていないようだ。野党の内閣不信任案提出という危機には「詐欺師まがい」(鳩山氏)の手法を使った首相。なぜか9月前半の米国訪問にも意欲を示しているが、政権末期に陥っている人が「日本代表」として外交の場に出ていったこと自体、信じられない。

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最終更新:6月5日(日)21時8分

産経新聞

 

菅直人

菅直人(かんなおと)
所属院 選挙区 政党:
衆議院 東京都第18区 民主党
プロフィール:
1946年10月10日生 初当選/1980年 当選回数/10回

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