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具志堅劇場…16年ぶり復帰戦“完闘”

 菊地奈々子のパンチを食らう具志堅用高会長(右)(撮影・三好信也)
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 菊地奈々子のパンチを食らう具志堅用高会長(右)(撮影・三好信也)

 「デイリー後援・ザ・カンムリワシ・ファイトvol38〜東日本大震災チャリティーマッチ〜」(6日、後楽園ホール)

 ボクシング元WBA世界ライトフライ級王者でデイリースポーツ評論家の具志堅用高氏(55)が6日、16年ぶりのリング復帰戦で執念の“完闘”を果たした。ジム主催興行で行われた女子ボクシング元世界王者・菊地奈々子(36)の引退セレモニーで2分2ラウンドのエキシビションマッチで激突。初回に受けたボディーへのダメージで、あわや“1回終了TKO”かという危機を乗り越えた。具志堅氏は今秋に計画中の世界王座奪取35周年イベントで渡嘉敷勝男氏(50)との“因縁の再戦”を明言した。

  ◇  ◇

 16年ぶりのゴングが鳴った。具志堅氏は前回のテツを踏まないよう、入念にアキレス腱を伸ばしてから、ヘッドギアをつけずに飛び出した。

 最初の1分間は軽快なフットワークでサウスポーからの右ジャブを繰り出したが、徐々に失速。菊地のボディー攻撃に顔をゆがめた。息切れしてクリンチしたつもりが、レフェリーに“セクハラまがいのホールディング”と注意され、おどけた顔で「Why?」と両肩をすくめる余裕も残して場内を大爆笑させた。

 ところが、1回終了後のコーナーに戻ると、疲労困憊(こんぱい)となった具志堅氏の表情から余裕は消えていた。「思った以上に厳しかった。1回で終わるかと思ったよ。ボディーが効いたね」。だが、意地で立ち上がった。95年の阪神・淡路大震災チャリティー興行では協栄ジム時代の後輩・渡嘉敷勝男氏と3分2回で対戦したが、1回途中でアキレス腱を断裂して病院送りに。無念の“途中降板”だけは繰り返したくなかった。

 重い体にむち打ってコーナーを出た。81年の現役引退から30年‐。カンムリワシは“本能”で戦った。防戦一方となり、口からマウスピースを半分出しながら、フラフラで戦い抜いた。終了のゴング。具志堅氏は開口一番、「ちょっちゅ、きつかった!」とタレント魂をさく裂させて場内を笑いの渦に巻き込むと、「ハ〜ッ、ハ〜ッ」と肩で息をしながら「第2の人生、頑張って」と引退する愛弟子にエールを送った。

 渡嘉敷氏は「あんなに動ける(今月26日で)56歳はいませんよ」と絶賛。具志堅氏は「2キロ減量してなかったら1回で終わってた。調整して、よかった。気持ちいいよ」と笑顔。“次戦”については「トカちゃんとリターンマッチだ!!」と宣言した。「9月末くらいに、僕のチャンピオン獲得35周年イベントを開催し、そこで山口直子の世界戦をやりたい。トカちゃんとの試合も?ちょっちゅね」。今秋にも“因縁の再戦”が実現しそうだ。

(2011年6月7日)

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