「阪神1-6オリックス」(6日、甲子園)
阪神は3連敗で借金11となり、09〜10年交流戦の2年連続負け越しに続き、3年連続で勝ち越しがなくなった。4番・新井貴浩内野手(34)は、四回の得点機に併殺打など、4打数無安打と大ブレーキ。このままでは4番としての信頼を失う危機に陥った。
◇ ◇
新井は謝罪した。試合後の一塁側通路。明らかに、これまでにない、どす黒い空気が流れる。クラブハウスへ続く階段を上りきった主砲は視線を宙に巡らせ、大きく息を吐いた。
「自分がしっかりせんといけん。あそこは…。ボールは見えていた?ボールが見える、見えないじゃなしに、しっかりせんといけん…」
大挙押し寄せた報道陣から問われた場面は、四回無死一、二塁。4点の劣勢をはね返すべく入った打席だ。平野、鳥谷がオリックス先発寺原をとらえ、反撃機をつくった。ここで4番の一打が飛び出せば、流れは変わる。誰もが背番号25のバットに連敗阻止の望みを託した。
だが…。フルカウントからの6球目。真ん中のスライダーを引っ掛けた打球は力ない遊ゴロに。1点でも返しておけば…そんなスタンドの願いも届かず6‐4‐3。全力疾走もむなしく、チームワーストとなる今季8個目の併殺打を喫した新井は天を仰いだ。
初回2死二塁でも外角低め、見逃せばボール球のスライダーにバットが空を切り三振。さらには、5点を追う九回に訪れた1死三塁の好機でも外の直球をミスショット。相手失策に助けられたが、この日3度目の背信で、得点圏打率をセ・リーグの4番の中で5位の・245まで降下させた。
前日も初回無死満塁で遊ゴロに倒れ、歓声をため息に変えた。打ってくれ!虎党の願いは4番の打席で最高のボルテージに達する。きょうの新井は、4番失格の烙印(らくいん)を押されても仕方がない。
3連敗で借金は09年8月22日以来となる「11」まで膨れた。交流戦の星取りを4勝12敗として、09年から3年連続で勝ち越しに失敗。打線全体が深い闇に沈む現状下、新井だけに責任が及ぶものではない。だが、攻撃陣の責任を1人で背負うのもまた、阪神の4番を任された者の使命だ。
4番は不動か?と問われた真弓監督は「うん。今のところは」と答えた。「どっちかと言うと、チームが悪いのに(新井が)引きずられてしまっているところもある」と主砲の不振をかばう指揮官だが、ファンの我慢も永遠ではない。
「タイガースに来て4年目。今年は自分がやってやるという思いが一番強いかもしれない」。シーズン前の新井の決意表明だ。4番が窮状を打破できなければ、虎が夏を待たずに終わってしまう。4番の責任は重い。
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