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A・ザッケローニ監督が故郷で語った
「だから日本代表は強くなった」

　
――どういうサッカーを日本でしたいと考えていたのか？
「監督として私が日本代表にもたらしたいものは、イタリア・セリエAや欧州チャンピオンズリーグで長年培（つちか）ってきた『経験』だ。特に、相手ディフェンスとの戦いかたかな。日本のサッカーは、いくつかの面では“ブラジルの血”を受け継いでいる。Jリーグは外国人選手の大半がブラジル人で、テクニックは高い。だが、パス重視のサッカーで“平面的”なんだ。私はもっと“立体的”なサッカーを持ち込もうとしている」

――日本代表の成長ぶりは？
「選手たちへの期待は大きかったけど、彼らはアジア杯でそれにしっかりと応えてくれた。その結果、日本は国際サッカー連盟のランキングで29位から15位に跳ね上がった。イタリアが11位なのを考えれば、悪くはない順位だ。日本は7月に、アルゼンチンで開催されるコパ・アメリカに出場する。予選グループではコロンビアやボリビア、そして開催国と同組だ。日本代表がさまざまな状況での戦いを経験できる貴重な機会になるだろう。成長するためにも、この種の経験は避けて通れないからね」

――長友についてはどう思うか？
「長友佑都はチェゼーナに半年弱しかいなかったが、インテルへ移籍するだけの実力があった。実際、彼はイタリアのすべての有力チームに狙われていた。彼は知的な若者ですぐに学習する。また、基本技術に優れた日本のサッカー文化をイタリアにもたらしてくれた。過去に比べると質が低下しつつあるセリエAで、彼は重要な役割を担う選手だと思う」

――海外で活躍する日本人選手が増えているが？
「日本のサッカーにとって名誉なことだし、その動向がいっそう注目を集めることにもなる。現在、欧州には日本人選手が16人いる。彼らを観るために、ますます旅をしなければならなくなったよ」

――日本人選手の長所は？
「彼らは“チーム”で勝つのが好きなんだ。彼らは『自分が』とは言わず、『自分たちが』と言う。こうした考えかたは、集団で仕事をすることの重要さを信じている監督にとっては、素晴らしい長所となる。それに、日本では対戦相手を“敵”とは考えず、“相手”というふうに考える。だから負けても破滅ではない。試合に負けたときでも、選手は拍手を受けるんだ。それに日本人は、何事にも情熱的に打ち込むし、仕事が第一だ。それをきちんと終えてから初めて、自分たちが楽しむことを考える。さらに日本人には、サッカーに落ち着いて取り組む姿勢がある」

――日本についての感想を。
「私は素晴らしい魅力に溢れた国に出会って、本当に惹き付けられている。家族もそうだ。私に会うために初めて日本を訪れて以来、すっかり日本に夢中だよ」