飯田市は26日、リニア中央新幹線のトンネルが市の水源域に掘削された場合「トンネル自体が水抜き坑となり、地下水位が低下し渇水が生じる危険性が大きい」と独自の水源域調査結果を明らかにした。県とJR東海が具体的協議を始める前に、県を通じて調査結果をJRに提出する方針。環境影響評価(アセスメント)の実施前にJRが作成予定の「計画段階配慮書」に反映させ、ルートから外すよう働き掛ける。
26日の市議会全員協議会で明らかにした。市は約1年前から専門家から意見を聞き、結果をまとめた。
飯田市には主な水源として、松川▽黒川▽板山川--があり、3水源からの水道を人口の95%にあたる10万104人が利用している。最大の松川水源域は約60平方キロ。水源域の南端がCルートの北部にかかる。他の2水源域は松川水源域と尾根を挟んで隣接する。
調査の中で、北原曜(ひかる)・信州大農学部教授(治山工学)は「流域のほぼ全ては花こう岩地帯で、深層まで達する多数の節理(亀裂)などで風化が進み、トンネル掘削で水資源の枯渇と汚濁が発生する」と指摘。さらに「特にトンネルの入り口がダムのすぐ上流に位置すれば深刻な事態を招く」という。【石川宏】
毎日新聞 2011年5月27日 地方版