リニア中央新幹線の整備をめぐり、JR東海と県内各地域との意見交換が6日、始まった。同日は宇野護同社取締役と山田勝文・諏訪市長ら諏訪地区期成同盟会役員が諏訪市役所で会談。諏訪側は山梨県に設置される中間駅へのアクセス向上などを要望。宇野取締役は「できるだけの努力をしていきたい」と述べた。
県内中間駅の位置案を含む計画の全体像について宇野取締役は会談後、木曽(8日)、飯田(9日)各地区との会談、県内の意見や要望をまとめた県の要請を受けた後に公表する意向を明らかにした。上伊那は現在、同社との意見交換を求めていない。
国が南アルプスを貫通するCルートでの整備計画決定後、JR東海と地元地区との意見交換は初めて。会談は冒頭部以外非公開で、山田市長はあいさつで「もう一度(諏訪・伊那谷回りの)Bルートを申し上げることはせず、一つずつ前へ進む話がしたい」と表明。長年、Bルート推進を掲げてきた経過を伝えるため、活動経過をまとめたDVD映像も流したという。
会談後、同市長は、山梨の中間駅までのアクセス向上策として中央東線高速化に向けた後押しや高速道路、在来線の利便性向上を要望したと説明。同席した今井竜五・岡谷市長は、県内中間駅までのアクセスを念頭に飯田線高速化を求めたことも明かした。
宇野取締役は「(諏訪地域を外れるルート整備で)諏訪圏域が寂れてしまうという心配があることを聞き、しっかり受け止めると伝えた」と説明。沿線の自治体や交通事業者などで地域交通体系を協議する「検討の場」への参加も明言した。JR東日本が経営する中央東線の高速化は「経営が違う会社。直接的な協力は難しい」と述べた。
一方、阿部知事は同日の会見で意見交換について「JR東海にしっかり受け止めてもらい、県全体にプラスになるような形で事業を進めてほしい」と注文。県として「ビジョンがなければ『検討の場』に出ても仕方がない。そういうものをしっかりつくっていきたい」と述べた。