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東日本大震災:下水処理場から放射性物質検出 自治体が対応苦慮 /東京

 ◇汚泥焼却灰搬出できず「早急に基準を」

 福島県内の下水処理場の汚泥などから高濃度の放射性セシウムが検出された問題を受け、汚泥焼却灰をセメントの材料として再利用していた業者が5月中旬から受け入れを見合わせているため、下水処理場を管理する都内の自治体が対応に苦慮している。都などは場内へ保管している焼却灰に含まれている放射性物質の値を公表しているが、国が安全性を認める基準を示していないため、搬出の見通しは立っておらず、各自治体は国に対し「早急に基準を示してほしい」と求めている。

 都内の処理場でも、5月に採取した汚泥焼却灰から放射性セシウムが検出された。都が管理する12施設で最も高かったのは「葛西水再生センター」(江戸川区)の1キロ当たり5万3200ベクレル。その他の施設でも同2万1130~436ベクレルだった。福島県では、最高で汚泥から同44万6000ベクレルが検出されている。

 都とは別に、独自の処理場を持っている八王子、立川、町田、三鷹の4市も調査を実施したり、検討中だ。八王子市の「北野下水処理場」では同1万5010ベクレル、立川市の「錦町下水処理場」では同1万548ベクレルだった。両市は、今後も定期的に調査する方針を示している。

 町田市も1日に結果を公表。「成瀬クリーンセンター」で同5123ベクレル、「鶴見川クリーンセンター」では同3337ベクレルだった。三鷹市は調査を検討中だが、下水道課は「都内でも放射性物質が検出されており、やらざるを得ない状況だと考えている」としている。

 国は5月12日、福島県の汚泥などを対象に同100ベクレル以下になるならセメントへの再利用が可能などとする「当面の考え方」を示したが、搬出基準や最終的な処分方針は示していない。4市は先月末、都を通じて国に基準の策定などを要望。最終処分場で汚泥を処理している三鷹市を除く3市は、場内に保管している汚泥焼却灰が早ければ6月中にはいっぱいになる見込みで、市の担当者は焦りを募らせている。1日に会見した石阪丈一・町田市長は「放射性物質の測定をしても、基準がないので我々は評価できない。基準がないと、搬出もできない」と述べた。

 国土交通省下水道企画課は「放射性物質を含むということは元々想定していなかった上に、セメントにするなら経済産業省、埋め立てるなら環境省など関係省庁が多岐にわたる面もある」と基準策定に時間がかかっている状況を説明した上で「早急に基準を示せるよう鋭意努力している」と話している。【松本惇】

〔都内版〕

毎日新聞 2011年6月2日 地方版

 
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