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日米の家計資産推移をグラフ化してみる(2010年1Q分)

2010年06月20日

日米の家計資産推移をグラフ化してみる(2010年1Q分)

2010年06月20日19:30

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金融資産日本銀行は2010年6月17日、2010年第1四半期(1〜3月)における資金循環の日米比較に関するレポートを公開した。それによると世界各国での株価上昇の影響を受けてアメリカは手堅い「債券」の額が減り、「株式・出資金」の項目の額は上昇を見せることになった。ただしそれ以上に「保険・年金準備金」の額が大きく増えている。一方日本は「株式・出資金」「投資信託」項目額が上昇、安値を受けてこれらの金融資産を購入した、あるいは手持ち資産の評価額が上昇した傾向を見せている(【リリース掲載ページ】)。

今リリースは日本銀行が年4回定期的に速報値として発表しているもの。以前掲載した【日本の家計における金融資産の構成比率の変化をグラフ化してみる】から連携・連動させる形で色々とグラフ化してみることにする。

まずは直近、2010年第1四半期(1Q)時点での、日米の家計における資産構成比率。日本が現金や預金に大きく傾倒している一方で、アメリカが株式や投資信託、債券を大量に保有している図式に変わりは無い。

日米家計金融資産構成比率比較(2010年1Q)
↑ 日米家計金融資産構成比率比較(2010年1Q)

これを日米別にその推移をグラフ化する。まずは日本。構成比率と絶対額の推移を見てみる。

日本の家計金融資産構成比率比較(1997年-2010年1Q)
↑ 日本の家計金融資産構成比率比較(1997年-2010年1Q)

日本の家計金融資産構成(1997年-2010年1Q)(単位:兆円)
↑ 日本の家計金融資産構成(1997年-2010年1Q)(単位:兆円)

直近数年(2008年前後)で「現金・預金」の比率が大きく伸びたのは、貯金額そのものが増えたというよりは、株価の低迷によるところが大きい。今期においては現金・預金額が多少減り、その分株式・出資金や投資信託の額が増えている。株価の上昇でこれらの金融資産の評価額が増加したのに加え、幾分なりとも新規購入・買い増しをしたものと思われる。

一方アメリカ。

米家計金融資産構成比率推移(2007年4Q-2010年1Q)
↑ 米家計金融資産構成比率推移(2007年4Q-2010年1Q)

米家計金融資産構成額推移(2007年4Q-2010年1Q)(兆ドル)
↑ 米家計金融資産構成額推移(2007年4Q-2010年1Q)(兆ドル)

アメリカでは株価上昇気運が前期から続いており、「株式・出資金」の項目で額が増加する傾向を見せている。一部で「アメリカの貯蓄性向は増加傾向にある」という話もあるが、金額面だけを見ると「現金・預金」項目はこの数期において確かに増加傾向にある。ただし金融資産全体に対する比率はむしろ減少。理由を探るべく数字をよく見直すと、市場の堅調化に伴い「株式・出資金」が増加しているのと元に、「保険・年金準備金」が割合・額共にじわじわと積み増しされており、これが金融資産全体を底上げしているのが確認できる。

多少古い記事になるが日銀の【国際比較:個人金融資産1,400兆円】などから見るに、日本と比べてアメリカの年金や保険の運用資産比率において株式の比率が大きく、株価の上昇が相乗効果を生んでいること、私的年金の積み増しをしている様子がうかがえる(※今資金循環統計では私的年金のみを個人の金融資産(保険・年金準備金)として記録し、公的年金は政府の金融資産として数字の対象外となっている)。

グラフには記載していないが、家計金融資産の総額は2010年1Q時点で日本が1453兆円、アメリカが45.5兆ドル。これはそれぞれ直近前期から(日本)マイナス0.21%・(アメリカ)プラス0.89%の変移となっている。比率としては小さいかもしれないが、総額そのものが大きいだけに、無視できるレベルのものではない。国内外で不安定要素が山積みとなっている昨今、日本家計における金融資産がどのような動きを見せるのか、注意深く見守る必要があろう。


■関連記事:
【日米の家計資産推移をグラフ化してみる(2009年4Q分)】
【日米の家計資産推移をグラフ化してみる】
【日本の家計における金融資産の構成比率の変化をグラフ化してみる】

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