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ドイツ、脱原発法案を閣議決定


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 【ベルリン】ドイツ政府は6日、2022年までに全ての原子力発電所を廃止するための一連の法案を閣議了承した。これには、陸上・海上風力発電の大幅拡大、送電網の拡充、天然ガスによる火力発電の能力増大などの措置が含まれている。

 北海とバルト海での風力発電計画は遅れているものの、政府は海上発電の目標を堅持するとしている。ペーター・ラムザウアー運輸・建設相は記者会見で、「海上での風力発電能力を今後20年で25ギガワットにまで高めたい」とし、「これは原発18~20基分に相当する」と述べた。

 閣議では17基の原発について、15、17、19年にそれぞれ1基ずつ、21、22年には3基ずつ閉鎖することで合意された。残りのうちメルケル首相が3月に福島原発事故を受けて一時閉鎖を命じた7基はそのまま運転停止とし、点検のため運転を停止している1基もそのまま閉鎖する。

 原発反対運動と原発を嫌う有権者の増加から強烈な批判を受け、メルケル首相は、脱原発戦略で野党社会民主党や緑の党と合意を得ようとしてきた。ノルベルト・レットゲン環境相は「われわれは数十年にわたる社会的闘いの問題を合意へと変える」とし、この戦略はドイツの競争力を高め、経済成長を将来の展望」に結び付けることになると述べた。

 ドイツは電力消費に占める再生可能エネルギーの比率を現在の17%から20年までに35%、30年までに50%、そして50年までに80%に高めることを目指すが、中でも重要な位置を占めるのが風力発電だ。ドイツ復興金融公庫(KfW)は海上風力発電拡大のため、まず10カ所の発電施設建設用に計50億ユーロ(約5800億円)の資金を供与する。政府はまた、15年としていた海上風力発電への補助金削減開始を18年からに延期した。ラムザウアー建設相によると、政府は効率的タービンを導入するなど、既存風力発電施設の性能向上にも力を入れることになる。

 また、ドイツ北部での海上・陸上風力発電によってできた電力を工業地帯のある南部に送る送電網拡充も目指す。年に2%とされていた陸上風力発電への補助金削減幅も1.5%に縮小されることになった。ただ、レットゲン環境相は、最終的には補助金はなくなるとし、「再生エネルギーにも市場の原則を導入したいし、そうする」と指摘した。

 政府はさらに、太陽光発電への補助金削減について、既に決まっていた年間削減率9%に上乗せする計画を取り止めることになった。ドイツでは太陽エネルギーで生産された電力を固定価格で買い取る制度で同エネルギーの利用促進を図っており、実質的に電力消費者が補助金を払っていることになる。

 電力不足を回避するため政府は、再生エネルギー利用の早期拡充と新しい化石燃料火力発電所に頼ることになる。特に石炭よりも二酸化炭素(CO2)排出量が少なく建設費の安い天然ガスによる発電が脱原発での供給不足分を補うと期待されている。

 また省エネビルの建設のために年15億ユーロを拠出する。

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