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再起へ 被災地便り −3.11大震災
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政局の混迷、東北を軽視/陸前高田市長・戸羽太さん

被災地を視察する玄葉光一郎国家戦略担当相(手前左)に被害状況を説明する戸羽さん(手前右)=5月28日、陸前高田市

 この3週間で、大きな環境の変化がありました。
 陸前高田市役所の仮庁舎は新たにプレハブ2階の建物を高台に設置し、5月16日に移転しました。以前の仮庁舎よりスペースは大幅に広くなりました。
 罹災(りさい)証明書の発行など窓口業務で、市民の利便性は確実に良くなったはず。まだ十分とは言えませんが、行政機能の復活を目標としてきただけに、一歩ずつでも前進しています。
 6月1日には市の復興計画などのアドバイザー役として、飲食店チェーン「ワタミ」会長の渡辺美樹さん(51)を市の参与として迎えました。
 豊富な人脈を持ち、さまざまな分野で活躍されています。市民に希望を与えるシンボルになってほしいと、参与をお願いしました。地元の雇用創出のほか、1次産業の在り方などでアイデアを出してほしいと思っています。
 民間と比較して、公務員はどうしても検討する時間を長く要してしまう。渡辺さんの仕事ぶりを通して、市職員はスピード感などを吸収してもらいたい。
 われわれは復興に向けて日々、苦難の中にあります。規制緩和、浸水地の買い上げなど、国側から多くの考えは出てきていますが、一向に実現していません。
 そういう状況の中で、内閣不信任決議案などをめぐる政局の動きは非常に残念でした。もし震災が東京や大阪で起きていたら、こんな動きにはならなかったと思います。
 同じ日本人で、これだけ苦しんでいる人たちがいるのに、なぜ今、政局なのか。三陸沿岸は人口が少なく、経済規模も格段に小さい。被災地が東北ということで、軽んじられた気がして本当に悔しい。
 一方で、今も炊き出しなど多くの支援があります。震災から3カ月になろうとしていますが、多くの人が被災地のことを気に掛けてくれて、本当に感謝しています。
(毎週2人の便りを定期掲載。次は名取市・名取ハマボウフウの会代表の大橋信彦さんと石巻市・大興水産社長の大塚敏夫さん)


2011年06月06日月曜日

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