欧州・ロシア

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ルース駐日米大使:インタビュー全文和訳(1/4ページ)

ジョン・ルース駐日米大使=東京都港区の大使公邸で、久保玲撮影
ジョン・ルース駐日米大使=東京都港区の大使公邸で、久保玲撮影

 ジョン・ルース駐日米大使とのインタビューの日本語訳は以下の通り。聞き手は河野俊史(毎日新聞・編集編成担当)。

 ◇震災当日の対応と米軍トモダチ作戦

Q 最初の質問は、東日本大震災が起きた時の大使の対応です。3月11日の地震が起きた際、まずどうされましたか。いつ、オバマ大統領に電話をかけられ、その時、大統領はどのような様子でしたか。

A 地震が起きて、まず取りかかったのは大使館で働くすべての職員と、日本にいる米国市民の無事を確認し、安全を確保することでした。ご存知のように、不幸にして2人の米国人が亡くなりました。その情報が入ったのは後日のことでした。

 館内の打ち合わせを済ませた後、ただちにワシントンに電話をかけ、(オバマ)大統領や(クリントン)国務長官らに報告しました。それ以降、米政府は、日本に滞在する米国人を助けるためだけでなく、窮地にある日本の友人を助けるためあらゆる手を尽くし、全力を傾けました。ワシントン時間で未明の午前4時だったと記憶していますが、大統領は私からの報告を受け、米政府が日本に対し、この危機においてあらゆる支援をするとはっきり述べられました。

Q 地震があった時に何をされていましたか。大使館にいらっしゃったのですか。

A 大使館9階で会議中でした。地震の直後に建物から避難し、大使館の外の駐車場ですぐさま電話を2本かけました。まず、ワシントンの大統領などへ。それから2本目は、在日米軍トップのフィールド司令官あてでした。この危機への対応について調整を始められるようにです。

Q 日米政府は福島第1原発周辺に、それぞれ異なる避難区域を設定しました。その理由を話していただけますか。

A 米国が出した指示についてはお話できます。私たちは米政府内の原子力専門家を今回の危機への対応に動員しました。米国人にどんな勧告を出すかは原子力規制委員会(NRC)が最終的に決めました。今回の事態が米国内で起きた場合に適用されるのと同じ基準を適用したのです。それがNRCの定めた(避難)範囲の根拠です。(米国が)米国市民に出した指針なので、非常に慎重なものとなりました。

Q 次に(米軍の)トモダチ作戦についてお尋ねします。米国と日本による災害支援・救助活動をどう評価されますか。

A 米政府の対応だけでなく、米国民の支援を含め、米国による取り組みを、大変誇りに思っています。もちろん、ご存じのようにトモダチ作戦の名のもとに、多数の軍人が救助に当たりましたが、それに加えて、米政府のあらゆる部門から専門家が、原子力や健康、安全問題についてアドバイスするため、この大使館に駆けつけました。ピーク時には、ワシントンから150人以上もの専門家が集まりました。さらに捜索・救助チームも到着し、米国際開発庁(USAID)が多くの援助を提供し、危機に対応するための「災害支援救助チーム」を立ち上げました。そういうわけで、私は米政府の対応を大変、誇らしく思っていますし、多くの米国人が日本に手を差し伸べ、資金面だけでなく、支援のためのボランティア活動に身を投じたことを誇りに感じています。ですから、米国の対応に満足しています。日本の対応については日本人に判断を委ねます。しかし、言うまでもなく今回の事態は前代未聞の規模で起きた複合的な災害であり、今回の危機全体を通して、日本の人々の立ち直る力と強さにとても感銘を受けました。

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毎日新聞 2011年6月7日 2時53分(最終更新 6月7日 3時04分)

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