ここから本文エリア

現在位置:asahi.comマイタウン岩手> 記事

「きっと立ち直れる」岩手の海産物販売、ネットで再建

2011年6月6日

写真

揚がった魚の配送準備をする八木健一郎さん(左)=岩手県大船渡市三陸町越喜来

 インターネットで三陸の魚を再び全国へ――。津波で事務所を失った岩手県大船渡市三陸町の海産物ネット販売会社「三陸とれたて市場」が6月中旬、営業を本格再開する。

 社長の八木健一郎さん(34)は静岡県出身。北里大旧水産学部に入学した。志望の理学部には受からず、唯一合格したのが水産学部だった。卒業後、なんとなく町に残った。魚屋のホームページをつくるアルバイトをして、ネット販売を思いついた。「お店はいらない。手軽に始められるかな」

 受注した魚を午前7〜8時に市場で仕入れ、午後5時に出荷する。鮮度を保つためギリギリまで冷蔵庫で寝かせる。三枚下ろし、腹開き、背開き……、希望通りにさばいて届ける。

 商売は順調だったが、3月11日、津波が事務所をのみ込んだ。知り合いの葬儀社に避難し、戸板で遺体を運んで火葬を手伝った。つらくなり、「実家に帰ろうか」と思った。

 しかし3日後、がれきの中で顔見知りの漁師と再会した。「いっそさっぱりした。みんな同じところからのスタート。いいものを作ろう」と言われた。「この街にはうまい食べ物、きれいな景色、面白い人たちがいる。きっと立ち直る」。気持ちは一気に再建に向かい、震災から1カ月の4月11日、知り合いの事務所で規模を縮小して再スタートを切った。

 今回新たに事務所を見つけた。海から500メートルでなんとか津波に耐えたコンビニ兼薬局だった建物。6月中旬には電気が通り冷蔵庫が使えるようになる。「まだ魚の種類は少ないが、以前と変わらない鮮度の良さで届けたい」

 同社のホームページはhttp://www.sanrikutoretate.com(細見るい)

PR情報

朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内 事業・サービス紹介

ここから広告です

広告終わり