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はじめまして浅草芸者の紗幸です― 高校生のときに交換留学生として来日されたそうですね。 紗幸 はい。日本の家庭から直接、1年間の交換留学生の募集があって、それに応募しました。お互いの娘たちが、教科書から制服、かばんなどを全部、交換したんです。 ― そのとき日本語は? 紗幸 全く話せませんでした。でも毎日学校に通いますから、そのうち慣れてきました。 ― 大学卒業後は、テレビプロデューサーをされていたとか。 紗幸 日本のサラリーマンや社会、文化をテーマにした番組をつくっていました。 ― それがなぜ芸者に? 紗幸 もともとは、花柳界についてのドキュメンタリー番組をつくるために始めたのですが、そのうちにフォーカスが変わって、今は、頑張って一人前の芸者になりたいと思っています。 ― 芸者デビューしてどのくらいになりますか。 紗幸 2007年4月から修業を始め、12月にお披露目ですから、1年半になります。お祭りやイベントへの参加も今年で2巡目になり、少しずつ要領もつかめてきました。 ― 稽古事は毎日? 紗幸 はい。お茶、太鼓、踊りをやるように言われています。一番力を入れているのは横笛です。 ― フルートの経験があるそうですから、上手なんでしょうね。 紗幸 それほどではありませんが、一生懸命やっています。最近は長唄と端唄、祭囃子のお稽古も始めました。 ― 日本の花柳界の中で、浅草を選んだ理由はなんですか。 紗幸 浅草は日本の伝統文化が残る街で、すごく雰囲気がありますよね。かんざし屋さんや下駄屋さんなど、花柳界を支えているお店もたくさんあり、職人さんの手仕事を目の前で見ることができるのも、素敵です。人力車が走っているのも珍しいですしね。 日本料理にはやっぱり日本酒ですね― 日本の食べ物はどうですか。 紗幸 日本料理は好きです。 ― 納豆やお刺し身は? 紗幸 私、納豆大好きなんです。お刺し身はウニが一番ですね。野菜も魚も、よく食べます。 ― お座敷に出るときは日本酒を飲まれるのですか。 紗幸 もともと日本酒が大好きなんです。ですから、芸者は私に向いている職業かもしれません。 ― 日本酒のどんなところがいいですか。 紗幸 やっぱり日本料理に合いますからね。私は居酒屋も好きでよく行きますが、どんな料理とも相性がいいですし……。 ― おそばはいかがですか。 紗幸 大好きです。家ではよく、納豆をかけて食べています。 ― ほお〜、納豆を? 紗幸 ゆでたおそばにバターをのせ、醤油をちょっと垂らして納豆をかけ、最後に海苔をのせるんです。「紗幸のオリジナル納豆バターそば」。塩バターラーメンの感覚ですね。とってもヘルシーで、おいしですよ。 気軽な「お座敷プラン」アレンジします― 外国人初の芸者としてかなり注目されていますが、これからの目標などはありますか。 紗幸 芸者衆が一番盛んだった1920年〜30年代、芸者はもっとタレント的な存在でした。今は花柳界と現代の社会がかけ離れてしまい、全く別世界という感じになっています。それを昔のような関係に戻せたらいいなと思っています。 ― なるほど。 紗幸 浅草の芸者衆の中には、人間国宝になっている人もいます。日本の伝統文化を守っているのは、まさに芸者衆なんです。これからは、日本の文化を広く、海外にも伝えていくことが、芸者の重要な役割だと思います。 ― 確かに、芸事を日常的に稽古している人はほかにいないですね。 紗幸 そうです。それに気づいてないのは、日本人だけじゃないですか。外国人は芸者を高く評価していて、日本に来たら、まず芸者衆に会いたいんです。 ― ただ、一般の人には敷居が高いのでは? 紗幸 ですから、ホームページを立ち上げて、気軽に芸者を呼べるようにしました。最初は外国人向けに考えたのですが、日本人の間でも口コミで広がっています。ランチタイムの「奥様お座敷」など、特に評判です。 ― 芸事も披露していただけるんですか。 紗幸 もちろん、普通のお座敷ですから、途中で三味線、踊り、太鼓などを披露します。 ― 料金はどのくらい? 紗幸 10人以上の予約で、1人2万円以下というプランが人気です。「遠出」といって、ホームパーティーに呼ばれることも多いですね。 ― 何だか忙しそうですね。 紗幸 はい。まだまだできの悪い芸者ですけど、新しいことにもどんどん挑戦していきたいと思っています。今年は、何か、私の好きなおそばやお酒などの宣伝に出られたらいいなあ〜。この場をお借りして、「よろしくお願いします!」(笑)。 ※紗幸さん主宰の「お座敷プラン」などの詳細は、www.sayuki.net まで (09年3月30日 「酒めん肴」編集室にて収録 撮影: STUDIO MAX 高橋昌嗣 |
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