濾過には大きく分けて酸化反応・還元反応とその中間が存在します。
現在、福島原発における高濃度の汚染水の処理方法が検討されていますが、もし高濃度の汚染水の中にも生体(微生物)が存在するならば、同様の反応による処理方法も検討するに値するかもしれません。

現在の検討方法は、日本ポリグルで開発されたポリグルタミン酸での凝集及び回収方法が検討されているようですが、個人的には放射性物質を回収するには非常に有効な手段だと感じています。
但し、懸念されるのは放射性物質が回収されただけでは解決にならず、放射線の問題が残っています。
ここでゼオライトが登場するのですが、さてTV報道をそのまま理解すると、ゼオライトを粉末投入して吸着させ、その後回収となるような報道がなされていました。
もし、このTV報道通りだとすると、ゼオライトの本来の性能は発揮されないことになります。
実際はどうなのでしょう?

さて今回は風評被害も出ている浄水器やRO水に関して少し考えてみます。
最近アフェリエイトを中心に放射性物質や放射能を除去できる浄水器の宣伝が載っている記事を読まれた方も多いのでは?
そんな記事に反論した記事も存在しますが、さてどちらでしょう?(笑)

個人的には、アフェリエイトでそんな記事を書いている人達は、そこまでしてお金儲けがしたいの?
そんなに福島を困らせたいの?と思ってしまいます。
現在の浄水システムの中でも実質的な最先端はイオン交換樹脂や逆浸透膜によるものが殆どだと思いますが、放射性物質までも濾過できるような装置を家庭用に作ることは出来ません(笑)
つまりそのようなものは、家庭用の浄水装置としては存在しないのです。

RO水はこのような機械で作られています。
RO水とは、簡単に言えば「純水」の事です。
不純物が混入しない(もちろんミネラルもない)水をRO水または純水などと呼びます。
ですから、もし「ミネラルたっぷりのRO水」などと謳っていれば「それ違うだろ!」とツッコミを入れてくださいw
RO水の元々の使い方は、工業製品の洗浄や菌の培養などに使われています。
つまり滅菌状態や不純物が一切混入してはならない場合だけに使用されるものです。

海外では、このような浄水設備を使って、海水から淡水を作る設備があります。
オーストラリアやドバイを始めとして、どんどん広がっています。
でも、このような設備で作られた純水を人間はそのまま飲むことは出来ませんから、いろんな薬品が添加されることになります。
これが水の不味さを際立たせています(笑)
飲んだことがある方々なら既にお分かりでしょうが、とても飲めたものではありません。
皆さんが不味いと言っている水道水ですら、世界から見ればとても贅沢な水であるのです。

そして、もし本当においしい水が出来る浄水器があったとしたら、実は浄水してはいません(笑)
なぜなら不純物だけを取り除いてミネラルを残すことは出来ないからです。
つまり塩素だけを取り除く浄水器ならば理解できますが、逆に言えば塩素だけを取り除くなら、皆さんが普段行なっている水道水の汲み置きをすれば同様の効果が得られますよね?
これがおいしい水の正体ですw

以前麦飯石を水の容器に入れて飲むことが流行ったことがあります。
その時には、麦飯石に不純物が吸着されて美味しい水が出来上がるといったコピーがありました。
でも、アクアリウムを始めて気づいたことは、ミネラルが溶出しただけだった事がわかりました(笑)
つまり、吸着ではなく溶出だったのです。
水の中ではどんなに高性能の活性炭であったにせよ簡単に吸着は出来ません。

最近ではアクアリウムの世界でも、一部のユーザーを中心にRO水が広がっているようですが、なぜ広がったか?
これは取りも直さず、純水=清浄な水と勘違いされた結果が一部のユーザーに受け入れられたものと考えます。
もしくは、ショップの金儲け以外の何ものでもありませんし、新しモノ好きのユーザーが騙しやすかったのでしょう。
ユーザーの無知につけ込んだ悪質な商売だと思います。

純水は滅菌された室内で使用しない限り純水ではありませんし、仮にそうした使い方をした場合には魚やエビなど到底生存できるはずもありません。
もし、本当にRO水が魚やエビに最適な水であるとしたならば、そうした水の中でソイルやフィルターを使わずに1週間程度飼育してみればすぐに答えは出るでしょう。
生体は生きていけません。
実はRO水を私たち人間が飲んでも下痢をします。
それほど細胞浸透力が大きく、体細胞に異変を起こすそんな危険な水が魚やエビに必要な訳がありません。

さて濾過の話に戻りますが、原発の建屋内の高濃度の汚染水の中には果たしてバクテリアなどの微生物が存在しないのか気になります。
個人的には、放射能を餌にするバクテリアが存在しても何の不思議もないと感じています。

先日「菜の花が放射能を吸収する」といった報道がありましたが、根から吸収しているそうです。
であれば、放射性物質を好んで餌とするエンドファイターがそこには存在しているはずです。
つまり、シアノバクテリアなどの原生生物が建家の水路にいても何の不思議もないはずです。
もし放射能を硝化できる微生物が存在することがわかれば、今後原発の近隣に対して希望が見出せる事にもなりますし、原発近隣以外の広い範囲での放射能の風評被害の恐怖を払拭することも出来ます。
関係者の方々どうでしょうか?


濾過には一定の約束事があります。
でも、その約束事の鍵を握るのは、その多くが酸素と窒素です。
酸素と窒素を基に、濾過に関するいろいろな物質が構成され再編されていきます。
アンモニアや硝酸などの物質も窒素を基に構成され、酸化や還元されることでその姿を変えていきます。

今回の濾過の実験では、この酸素量に関して大きな成果が得られました。
それは、「苔に対しての酸素の影響」です。
実はシアノバクテリア同様、溶存酸素量が多い水槽では苔の発生が著しく低いことがわかりました。
同時に、止水域が生じやすい水槽のレイアウトなども同様にわかりました。
水草水槽で苔の発生が顕著なのは、水草自体で止水域が多く存在してしまうためです。
そのため、水槽全体に水流が出来難くなり、しいては隅々まで酸素が行き渡らなくなります。
溶存酸素は常に水流と微妙な関係を持ち続けます。

前記のゼオライトがいくら優秀でも、ある一定の水流がない場合には機能しない理由も同様だと考えています。
さて、水槽内での硝化のメカニズムを考えてみます。
魚→アンモニアの排出→アンモニウムイオンまたは窒素態亜硝酸などへの変質→硝酸塩→硫化水素・メタンまたは亜硝酸→窒素・炭酸ガス・酸素など

大雑把ですがこのような過程だと考えられます。
上記の過程の中では、硝酸塩に達するまで酸素は消費されます。
でも、それ以後は酸素が邪魔になります。
今度は酸素を引き離さなくてはなりません。
この作用が還元です。
自然界ではこのような硝化(酸化)と還元が絶妙なバランスで成り立っています。

そして、このように硝化や還元を媒介するのがバクテリアである訳です。
つまり、バクテリアが最終的にそのバランスを保ち濾過を成立させていることになります。

今回の実験では、以前のもんじゃ実験を踏まえた上での溶存酸素と苔の関係を探りました。
シアノバクテリアの抑制同様に、溶存酸素が果たしてどこまで苔にも有効であるかということです。
ちなみに空気中の割合は、おおよそ窒素82%・酸素12%・その他6%辺りでしょうから、空気量が倍になっても酸素量は12%しか増えません。
もちろん、元の数字の倍ではありますが・・・。

また溶存酸素は水中内での気泡の表面積と滞留時間に比例しますから、同じ体積でも細かな球体のほうがより多くの表面積を稼ぎ出せ、細かな気泡とすることで、浮力も小さくなり水流に乗りやすくなることも想像し易いと思います。
気泡のまま水流に載って漂えばより多くの溶存酸素を稼ぎ出すことが可能だと考えました。
そして、遠くまで運ぶことで止水域を減らすことも可能ではないかと考えました。

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今回の実験ではもんじゃではなく市販の水流装置を使いました。
正確には以前から使用していたのですが、溶存酸素を増やす目的ではなく、水流を作る目的として使っていたものです。

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こんな小さなものですが、とてもパワフルです。
でも、音が非常にうるさく、居間や寝室の側には不向きです。
TVの音すらままなりません(笑)

この水流器を使い溶存酸素と水流を増やした結果、水槽内で見事に苔がなくなりました。
僅かに数週間での出来事です。
生体たちも非常に元気になっています。
以前のようなどこか少し元気がないような行動が一切なくなりましたし、何より生体同士の小競り合いがなくなりました。
これが一番大きな収穫かもしれません。

そして確実に水槽内が明るくなっています。
これに関して理由はわかりませんが、以前ほど水槽内が光に対する依存が減ったせいかもしれませんね。
もしご存知の方がいればご教授願えれば幸いです。

さて、ここまでで水槽に対する濾過の大まかな構造が見えてきました。
それは、現在使用しているリアクターだけのように生物濾過だけが突出した濾過器では非常にバランスが悪いということです。
また、当然のことながら、酸素供給のない外部濾過のような密閉式の濾過器では、濾過器としての能力が低いばかりではなく、水槽全体が危険な状態に陥ることも容易に理解できると思います。
外部式の濾過器は完全な欠陥商品です。
全ての要素でバランスが取れて始めて安全な水槽のろ過システムが生まれます。

そこで水槽内に必要な濾過に関するものをまとめます。
①吸着性能が高い濾材(ゼオライトのように)
②濾材の性能が引き出せるような濾過器の構造(一定の水量を確保できる物)
③水流発生装置
④溶存酸素発生装置
⑤生物濾過に必要なバクテリア

ちなみに③と④は一対として考えて良いと思います。
細かな気泡が水流に載って、水槽の隅々まで到達していれば、溶存酸素が確保できていることを目指できますから、水槽の維持管理としては非常に楽です。
苔の増殖に悩んでいたクマノミ水槽が僅かに数週間で苔の殆どが姿を消しました。

以上濾過器に求められる要素など、苔の抑制を基に考えてみた実験結果でした。