「ここが冬木市…そしてすべての始まりの地。」
夜の闇に鮮血のような紅のドレスをまとった少女がポツリとつぶやく。
ビルの屋上に立つその姿は闇の黒と合わせてなんとも彼女の姿を見た目以上に妖しくも美しく魅せる。
「急がないと…他の奴らに先を越される前に接触を…私の目的のためにも。」
その言葉と同時にビルより姿を消す。
ふぇいとヨメイロないと
「問おう。あなたがマスターか?」
「え…いったい何を…」
回想スタート
少年は危機に瀕していた。
なんか放課後に気になってグラウンドに行って見たらヤバげな感じのいい漢!ウホ!…もとい槍をもった蒼タイツの変質者と双剣を出したり消したりする手品師?が争っていた。
どう考えても普通じゃないので逃げようと思ったらアンラッキーなことに音を立てて気付かれてなんやかんやで槍男にブサリと一突きされた。(後ろの穴的な意味ではない)
気が付いたら制服血まみれ穴空きのわりとデンジャーな感じがしたのでとりあえず家に帰ったら、今は亡きジジイが残した警報器が鳴って再び現れた槍男。
問答無用で襲いかかってきた(後ろの穴的な意味略)ので一応使える強化の魔術で応戦しようとしたらあっというまにフルぼっこ。
もはや俺の命はこれまでか(後ろの穴的な略)と思ったら、偶然ブッ飛ばされた土蔵の床に刻まれた妖しげな魔法陣がなんと輝いてるではありませんか。
そうすると今度は鎧をまとった少女がズブズブと魔法陣から出てくるではありませんか。
そして冒頭に戻る。
おや?だが魔法陣の様子がおかしい。
一度は少女が出てきたことで鎮静化した輝きが再び狂ったように発光してるではありませんか。
「へ?一体…」
何がとつなぐことは出来なかった。
なぜなら謎の爆発が起こり、それを察知した少女が少年を爆発から守ろうとして少年を抱えその場から離脱したからだ。
もっとも少年からすれば爆発が起こった事までしか認識できずそのあとは突如抱えられて移動したため何が起こったか全く理解できなかった。
「いたたた…まさかこのような爆発を伴うとは…聞いていませんよメディアおばさま。」
爆発の煙に隠れて姿は見えないが声からは少女特有の甲高いものが感じられた。
「あ!そこにいるのは母上!そして父上ですね!!?
やはり成功したんだ!遠坂のうっかり婆は信用できなかったんですがさすがはメディア叔母様です!」
煙から現れたのは少女。だが顔つきは先ほど現れた鎧の少女に似ており身長はせいぜいが俺の胸と腹の間くらいだろう。
だがようやくここにきて思考が回転してきた少年はふと気付く。
なにか問題発言をしていなかったか?
ほとんどは愚痴と固有名詞だったがそのなかでもひときわ異彩を放つ言葉。
そう、それは
「父上?」
「母上とは私のことでしょうか?」
どうやら鎧の少女の方も先ほどの言葉に違和感を感じていたようだ。
当然だ。国によってはありかも知れんがまだ高校生程度の年齢で子持ち、しかも見た目小学生程度の子供なんて少なくとも日本ではありえない。
ゆえに少年がこれを夢か幻だと現実逃避してしまうのはある意味では正しかったのだろう、が
「そうです。私は衛宮アナスタシアです。衛宮士郎と衛宮アルトリアの奇跡の結晶、娘なのです。」
「なっ!!!」
最初に反応したのは少女の方だった。
流れからするとアルトリアという名前なんだろうがあいにくと少年、衛宮士郎は非常に混乱していた。
「ということで、さっそく父上と母上は子作りを励んでください。なんなら私も手伝いますので。いえむしろここは手伝うべきですね。」
「なんでさ~~!!!!」
「ちょっとまった~!!!」
士郎の叫び声をさえぎるようにまたもや別の少女の声がする。
「あんたはやっぱりフライングしやがって!!これはルール違反じゃないかしら!?おまけにお母様の悪口まで言いやがって!!!このナス娘が!!」
「人聞きが悪いですね、美月(みづき)。そもそもこの勝負は早い者勝ちです。むしろせっかくこれから初夜を過ごそういうのを邪魔をするあなたのほうがルール違反では?ついでにあなたの母親に関しては事実なので訂正する気はありません。あとは私のことはアナスタシア、もしくはアニィと呼べと言ってんだろうがこの赤女。」
乱入してきた赤い服に黒髪ツインテールの少女、美月もここぞとばかりに反論する。
「相変わらずの減らず口ね。なんにせよお父様だってまだ状況を理解できていないのになし崩しに事を進めるのはどうかと思うのだけど?あと誰が赤女よ、赤は遠坂のイメージカラーなのよ。」
「問題ありません。この当時の父上はマスターとして未熟なので魔力供給という大義名分のもと、性行為に及んでも問題ないのです。むしろするべきなのです。さぁ母上も何を呆けているのですか?邪魔者が入らないうちにさっさとやることをやっちゃいましょう。」
「は?へっ…い?」
「だからそれを待てって言ってろうがーー!!!」
もはやこのカオス空間を止めることのできるものはいないのだろうか?
というより少女2人とのあまりの温度差というか、ともかく反応がついていけないのは士郎とアルトリアの二人。
本来突っ込み役であろう士朗もここまで突っ込みどころ満載だとどこから処理していけばいいのか分からない。
ゆえに困惑し動けない。だがふいに彼の背後に気配を感じた。
「っ!!マスター!!」
「まさか!父上!!」
「お父様!!」
そして士朗以外の三者も気配に気づくが駆け寄る前に気配の主は士郎の背後に忍び寄り、そして
「あは♪つかまえましたよ…お・と・う・さ・ん♪」
気配の主はそのまま士郎の背中からがっちりとホールドした。
いや正確には身長が低いため腰のあたりに抱きついたというべきか。
「でたわね!!この淫乱雌豚が!!!お父様から離れなさい!!」
「ひどいです、美月姉さん。私には衛宮小春という名前があるんですからちゃんと名前で呼んでくださいよ♪ああそれにしても若いおとうさんもいいにおいがしてとっても気持ち良いなぁ…とても離れられそうにありません♪」
すーはーすーはーと明らかにただの呼吸ではない音が聞こえる。
「だぁああ!!!いいからあんたはさっさと離れなさいっての!!」
「そうです小春、これから父上と母上は初夜を過ごすのですから邪魔をしないでいただきたい!」
「あんたも違う!!どいつもこいつもそれしか頭にないのかあああ!!!」
衛宮家の夜はまだ明けない
果たして衛宮士郎の今後はいかに!?
「…なぁ俺はいつまで待ってりゃいいんだ?」
…そしてランサーの夜もまだ明けない。
「アーチャー、どういう状況かわかる?」
「………」
「アーチャー?どうしたのよ、状況は?まさか衛宮君はもう…」
「…一言でいうなら……カオスだ。」
「は?」
「カオスだ。」
赤の主従の夜も明けない。
続くか!?
あとがきという名のいいわけ…
発作的に書いてしまった…
だが後悔は…ちょっとあるかも
タイトルのネタ元は言わずと知れたある意味問題作のヨメイロちょいす
そしてフェイトも3ルートあるんだからならヨメイロちょいす再現できんじゃね?とか思ったけど良く考えればそもそもセイバールートならセイバー消えちゃうから士郎との子供とか不可能じゃね?とか気付いたので3人ともゲームでのそれぞれルートエンドとは別軸ということにします。