(cache) 動物園飼育員・ゾウ編 - これまでの放送:ディープピープル[DEEP PEOPLE]

放送内容

動物園飼育員・ゾウ編
<総合テレビ>6月6日(月)

動物園で、子どもたちに大人気の「ゾウ」。しかし、穏やかなイメージとは逆に、飼育員が踏まれて重体に陥るなど、飼育上の事故は際立って多く、“飼育が最も困難な動物”とも言われる。今回は、日本を代表するゾウ飼育のプロフェッショナル3人が集結。危険と隣り合わせの飼育現場で、柵の中に入って世話する「直接飼育」と、柵越しにしか飼育しない「準間接飼育」、どちらがゾウに適しているのか?一日100キロの餌を安く安全に調達する工夫や、飼育員しか知らない生態の秘密など、ゾウ飼育の魅力を語り尽くす。

椎名 修×古田 洋×片柳雅之

椎名 修椎名 修
愛媛県立とべ動物園勤務。ゾウ飼育歴30年。直接飼育のスペシャリストで、ゾウを扱う技術は「現役最高峰」と称される。
古田 洋古田 洋
よこはま動物園ズーラシア勤務。ゾウ飼育歴12年。ゾウ飼育の本場、インドで直接飼育の教えを受ける。ゾウを意のままに操る本格派の若手飼育員。
片柳雅之片柳雅之
東京都多摩動物公園勤務。飼育歴20年。人との接触が少ない準間接飼育で、可能な限り人がゾウに影響を与えない環境をめざす。
「大きくて無敵に近いのに、カエルが足元を歩くと大騒ぎ!」片柳雅之
片柳雅之 トークは、飼育員のみが知るゾウの魅力から始まった。古田は「鼻の裏のプヨプヨした感触」。椎名は「動物離れした人間っぽい動き」。そして、盛り上がったのは、片柳の発言。「(精神的に)小さいところ。ゾウは大きくて無敵に近いのに、カエルが足元を歩くと大騒ぎする!」と答えると、「カラスやハトにも驚く」と古田が続き、「蝶々を追いかけたりするよね」と、ゾウの意外な一面が明らかになった。その後、トークはゾウの知能について展開。鼻で筆を持ち飼育員の指示通りに絵を描ける、餌を自分の好きな形にしてから食べる、昔飼育されたインド人の顔を何年も覚えているなど、知られざる知能の高さや記憶力の良さについても語り合った。
「ゾウは踏むつもりで絶対に踏んでいると思う。状況を見て『今だからやっちゃおう』みたいな」古田 洋
古田 洋 日本の動物園でのゾウの飼育法は、大きく二つの種類がとられている。直にゾウに触れる「直接飼育」と、柵越しにしかゾウと接しない「準間接飼育」だ。直接飼育のスペシャリストである椎名と古田は、直接触れる方が十分なケアができるほか、触れることでゾウ自身も安心するし、信頼関係が築けると主張。それに対して、準間接飼育の片柳は、ゾウと飼育員が距離を置くことで、ゾウは自由に自分の判断で動くことができると持論を唱えた。さらに、片柳は直接飼育での危険性を指摘。実は、ゾウは、接し方を誤ると、パニックに陥る可能性がある。一度パニックになると凶暴になるため、飼育員の事故が多発しているからだ。「ゾウは踏むつもりで絶対に踏んでいると思う。状況を見て今だからやっちゃおうみたいな」との古田の発言に対し、椎名は「そのときでもサインは見せてくれるので、見極めることが大切」と、ゾウの状態を読み、判断することの大切さを強調した。
「命を預からせてもらっている。家族同然の付き合い方ですよね。」椎名 修
椎名 修 ゾウはその巨体ゆえ、一日におよそ100㎏の餌を食べる。普通に食料を調達すると、膨大な値段となるため、飼育員はそれぞれコストダウンの工夫をしている。「園内の木や竹を切っている」と椎名が言うと、「総菜工場の外した野菜をもらっている」と片柳。さらに古田が「レッサーパンダやサルの食べ残しをもらっている」と続き、議論はヒートアップした。飼育法は各々異なるが、3人とも「常にゾウのことが頭から離れることはない」と言う。「休みでもちょっと出てきたり」という古田。「家族旅行にはほとんど行ってない」と片柳。その言葉を受けて、「命を預からせてもらっているので、24時間彼らのことを考えてもいいと思う。家族同然の付き合い方ですよね。」と答えた椎名の言葉に、他の二人もしみじみ共感した。危険も伴う飼育といえども、家族のように愛しい存在であるゾウ。長い付き合いになればなるほど、自らの生活を削ってでも、四六時中ケアをしたいと飼育員たちは思うのだ。
これまでの放送一覧へ